研究者の国際交流、回復基調鮮明に 海外派遣は前年度比8.6%増 文科省調査

文部科学省は2026年7月6日、「国際研究交流の概況(令和6年度の状況)」の調査結果を公表した。2024年度の海外への短期派遣研究者数は11万5767人と前年度から8.6%増加し、コロナ禍前の2018年度の7割弱の水準まで回復した。海外からの短期受入研究者数も1万6039人と前年度比10.8%増となり、派遣・受入の双方で回復の流れが続いていることが明らかになった。

Photo by hamazou/ Adobe Stock

計931機関を対象に調査、回収率は90.1%

本調査は、国公私立大学、高等専門学校、独立行政法人等と諸外国との年間の研究交流状況を把握し、国際交流推進施策の基礎資料とすることを目的に、文部科学省が毎年実施しているもの。今回は公益財団法人未来工学研究所に委託し、2024年4月から2025年3月までの状況について計931機関を対象に調査した。有効回答は839機関、回収率は90.1%だった。なお、調査では1か月(30日)以内の交流を「短期」、1か月を超える期間を「中・長期」と区分している。

海外派遣は短期・中・長期とも増加

まず海外への派遣に目を向けると、短期派遣研究者数は調査開始以降増加傾向にあったが、2020年度に新型コロナウイルス感染症の影響で著しく減少した。その後は増加に転じ、2024年度は前年度から9154人増の11万5767人となっている。中・長期の派遣者数は2008年度以降おおむね4000人から5000人の水準で推移してきたところ、同じくコロナ禍で大きく落ち込んだものの、2024年度は4028人(前年度比11.2%増)とコロナ禍以前に近い水準へ戻りつつある。

一方、海外からの受入も回復が進む。短期受入研究者数は東日本大震災等の影響で2011年度にかけて減少し、その後持ち直したが、2020年度に再び大幅な減少を経験した。2024年度は1万6039人と前年度から1567人増え、回復基調が続いている。中・長期の受入研究者数は1万2697人(前年度比99.2%、96人減)とわずかに減少したものの、2000年度以降おおむね1万2000人から1万5000人で推移してきた従前の水準を保っており、2022年度以降はコロナ禍前の状態に戻っている。

派遣は東京大学、受入は京都大学が最多

機関種類別に見ると、短期・中・長期ともすべての機関種別で派遣者数が前年度を上回った。短期派遣では国立大学が6万2860人(前年度比9.1%増)、私立大学が3万3884人(同7.8%増)だった。受入については国立大学等の存在感が大きく、短期受入の約8割、中・長期受入の6割以上を占めている。

機関別では、派遣研究者数の総数で東京大学が8888人と最も多く、京都大学の5793人、東北大学の4552人が続いた。受入研究者数の総数では京都大学が3114人で首位となり、東京大学の2691人、東北大学の1789人がこれに次ぐ。

相手国は派遣・受入とも米中韓が上位

相手国・地域別では、短期派遣の上位3か国は米国、韓国、中国の順だった。中・長期派遣は2002年度以降、米国が一貫して最多となっている。受入では短期・中・長期とも中国、米国、韓国が上位を占め、特に中・長期受入における中国の構成比は25.4%に達した。

国際研究集会は対面開催が過半数に

大学・研究機関等が主催した国際的な研究集会は、2024年度に2616回開催された。開催形態の内訳は対面のみが1333回(51.0%)、対面とオンラインのハイブリッドが987回(37.7%)、オンラインのみが292回(11.2%)であり、対面での開催が過半数を占めている。

文部科学省は、2020年度以降の低水準について新型コロナウイルス感染症の影響によるものとの見方を示したうえで、2023年度に引き続き2024年度も回復の基調にあると分析。調査結果を今後の国際交流推進施策の企画・立案等に活用し、研究者の海外派遣や受入の促進に引き続き取り組むとしている。調査結果の全体版は、文部科学省ウェブサイトに掲載される予定だ。