オープンAI 「GPT-5.6」一般公開へ
米オープンAI(OpenAI)は、新しい人工知能モデル群「GPT-5.6」を、日本時間2026年7月9日に一般公開すると発表した。同社の公式X(旧ツイッター)アカウントが7月8日、今週の木曜日に公開すると投稿し、あわせて試験的な利用枠を世界規模で広げていることも明らかにした。
GPT-5.6は今年6月26日、ごく一部の組織だけが試せる形で初めて公開された。オープンAIは公式サイトで、一般公開に先立ち米政府へ計画と性能をあらかじめ説明したところ、政府側の要請を受けて、まずは信頼できる少数の組織に限って提供を始めたと説明している。利用できたのは、外部のプログラムから呼び出して使うための接続窓口であるAPIと、同社が提供する開発支援ツールのコーデックス(Codex)を通じてのみで、一般利用者向けのチャット画面では使えなかった。今回の発表は、この限られた検証期間を経て、より広い利用者に開放する段階に進んだことを意味する。
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新しいモデル群は、性能と価格の異なる3種類で構成される。最も高性能なソル(Sol)、日常的な業務に向く標準的なテラ(Terra)、そして速さと手頃な価格を重視したルナ(Luna)である。オープンAIによると、テラはGPT-5.5と同程度の性能を保ちながら価格はおよそ半分に抑えられており、ルナは最も低い価格で相応の性能を発揮するという。今回の名づけ方では、数字が世代を、名前がそれぞれの性能の階層を表しており、各階層は今後それぞれ独自の時期に更新されていく仕組みになっている。
利用料金は、100万文字分の処理を目安とする単位(トークン)あたりで示されている。ソルは入力5米ドル・出力30米ドル、テラは入力2.5米ドル・出力15米ドル、ルナは入力1米ドル・出力6米ドルである。2026年7月8日時点の為替相場(1米ドル=162円前後)で換算すると、ソルは入力約810円・出力約4860円、テラは入力約405円・出力約2430円、ルナは入力約162円・出力約972円に相当する。あわせて、一度使った情報を一時的に保存しておく仕組みも見直され、保存に対する料金は通常の1.25倍となる一方、保存した情報を再び使う際には9割引きが適用される。この保存の最短期間は30分とされた。
性能面では、より長い時間をかけてじっくり考えさせる新しい設定や、複数の処理を同時に進めて作業を速める新しい機能が加わった。オープンAIによると、コマンド操作を伴うプログラム作成の分野で最も高い水準を更新したほか、遺伝子解析のような科学分野でも、従来モデルより少ない処理量でより高い成果を出せるようになったという。
安全面への対応も強化されている。オープンAIは、これまでで最も厳重な安全対策を講じたとしたうえで、実際の攻撃を想定した検証を数週間にわたり重ねてきたと説明する。具体的には、AI向けの高性能な計算装置換算で70万時間を超える計算資源を投じ、様々な手口でモデルの弱点を洗い出す作業を行ったという。あわせて発表された公式の安全報告書では、ソル・テラ・ルナの3モデルすべてが、サイバーセキュリティおよび生物・化学の両分野で、同社が定める最も高い注意水準に区分された。より小型で速いモデルがこの水準に区分されたのは、同社にとって今回が初めてだという。一方でオープンAIは、ソルについて、弱点を見つけ出す作業には強みを発揮するものの、攻撃を最初から最後まで自動でやり遂げる段階には至っていないとの見解を示している。
提供体制についても拡大の動きがある。オープンAIは、計算基盤を手がけるサーブラス(Cerebras)の機器を使い、ソルをより高速に処理できる環境を7月中に用意する計画も明らかにしており、こちらも当面は一部の利用者に限られる見通しだ。高度化するAIの性能と、社会にとっての安全性をどう両立させるか。米政府と協議を重ねながら段階的に公開範囲を広げる今回の手法は、今後同様の性能を持つAIが登場する際の一つの前例として注目される。