知識の未来へ 社会から求められる新たな知のかたち

2020年10月号から第1回目が始まり、これまで11回にわたって学際とは何かを探ってきた。最終回はこれまでを踏まえながら、今後求められる知の在り方を検証したい。

人文・社会科学も科学技術の一つ
科学技術・イノベーション基本法

「科学」という言葉は少し厄介である。科学や科学技術という言葉を聞いて思い浮かべるのは理系的な/あるいは自然科学のイメージをもつのではないだろうか。あるいは、白衣をきてフラスコをもったアニメに出てくるような科学者をイメージするのではないだろうか。科学はscienceの訳語であり、明治時代に西周が作りだした語として知られている。

本来は「百科の学」というような意味で考案された訳語で、さまざまに分かれている知識というような意味を持っている。したがって、科学は自然科学だけを指すものではなく、体系化された知識全般を示すものであった。Scienceは先に言及したように、人文科学・社会科学・自然科学と分かれてきた過程があった。日本にscienceという概念が入ってきたときには、すでに分かれていることが前提となっている状態であったため、西周の意図するところがうまく継承されなかったのであろう。

(※全文:2513文字 画像:あり)

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