学際探究への見取り図 その2 高度に複雑な社会と学際領域

前回に続いて、本稿では、学際探究の「見取り図」を俯瞰しながら、高度に複雑化した社会における学際領域について検証してみたい。

価値観が多様化し、
高度に複雑化した社会と知識

筆者は、現代社会を高度で複雑化した社会であると繰り返し主張している。というのもジャン=フランソワン・リオタールの『ポスト・モダンの条件』(この本自体が社会における知識について深く考えさせる本でもある)をもちだすまでもなく、「大きな物語」が終焉したからである。大きな物語とは、要するに社会全体がもっていた共通の価値観のことである。

現代社会は、これまで社会全体で共有されていた価値観が有効性を失い、各々がそれぞれの価値観を有するようになった。大きな物語を共有していたときは、価値観もひとつであったので人々の欲望も同様に横並びであった。

(※全文:2451文字 画像:あり)

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