「修士課程在籍者を起点とした追跡調査」を公表 NISTEP

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は1月31日、「修士課程(6年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査(令和3年度修了(卒業)予定者)」の結果を公表した。

同調査は、2020年度から修士課程在籍者を対象として、在籍中における経済的支援状況、進路状況、博士課程への進学率を向上させるための政策等について調査を開始。今回の調査は第2回目となる。 

調査結果によると、在籍者に進路予定への問に関して、全体では「博士課程への進学」(9.6%)、「博士課程進学の準備」(1.7%)と、進学を予定していると回答した者は1割程度だったのに対し、「就職先が決定している(起業・就業継続含)」(65.5%)、「就職活動中」(6.4%)を合わせた回答者は約7割を占めた。 

博士課程進学ではなく就職を選択した主な理由として、「経済的に自立したい」(66.2%)、「社会に出て仕事がしたい」(59.9%)等が過半数を占めた。一方、「博士課程に進学すると生活の経済的見通しが立たない」(38.4%)、「博士課程に進学すると修了後の就職が心配である」(31.1%)、「博士課程の進学のコストに対して生涯賃金などのパフォーマンスが悪い」(30.4%)等、進学がキャリアや収入にネガティブな影響を与えることを懸念する回答が3割以上を占めている。 

また、博士課程進学を検討する重要な条件としては、「博士課程在籍者に対する経済的支援を拡充する」(65.6%)が最も高く、「博士課程修了者の民間企業などにおける雇用条件が改善する」(31.4%)が続いた。さらに、在籍者の視点から博士課程への進学者を増加させるために効果的だと思う政策としては、「博士課程での給与支給」、「若手研究者(博士後期課程学生含む)の研究環境改善」、「産業界における博士取得者に対する給与等処遇改善」等が挙げられている。調査結果の詳細はURLから確認できる。

https://www.nistep.go.jp/archives/53896

23.2.1news2

修士課程修了者の進学率。画像は同調査から。