『優れたリーダーはなぜ、対話力を磨くのか?』

部下の育成や組織マネジメントに関する課題の多くは、対話力を磨くことで解決できます。本稿では、そのために必要な考え方やフレームワークなどについて、その概要を紹介します。

堀井 悠

堀井 悠

アンドア株式会社 代表取締役
スターバックス、学習塾、リクルートを経歴し、国内・国外と大手・ベンチャーのカルチャーを経験。対話に基づく主体的なチーム開発を得意とし、日本国内最大手の製造業、自動車メーカー、食品会社、スタートアップ事業での研修の企画、開発、講師登壇を経験。

『優れたリーダーはなぜ、対話力を磨くのか?』

『優れたリーダーはなぜ、
対話力を磨くのか?』
堀井 悠、松本 悠幹 著
240頁/1580円+税
2025年1月刊
クロスメディア・パブリッシング(発行)/インプレス(発売)

「対話」に専門特化した研修会社、アンドア株式会社の代表として、これまでに約500の組織で人材・組織開発に関する研修、コンサルテーション、対話型ワークショップを支援させていただきました。ポジティブなニーズでは、若手20代を中心とした新規事業開発のブランディングやリーダーシップ開発のお手伝いを。ネガティブなニーズでは離職が止まらない組織の組織風土の改革などをお手伝いしてきました。また、プロ野球選手のマインドコーチや、民間企業・官公庁のキャリア自立に関する階層別研修などを手掛けています。受講者が「気づいて、変わる」ために、対話を多く取り入れた研修設計を重要視しています。

書籍執筆の背景

私たちが対話に関する書籍を書こうと決心したのは、いくつかの企業で新規事業プログラムを支援する中でのことです。『月刊先端教育』の読者の皆様には釈迦に説法で恐縮ですが、新規事業に欠かせないプロセスの一つは「話し合う」です。

例えば、プログラムに参画する一人の社員が、①メンバーと顧客の声なき「痛み」について話し合い、②インサイトを顧客にヒアシングし、③サービスのプロトタイプと効果についてプレゼンし、④外部や社内から必要なアセットを巻き込む、というものがあります。

「新規事業は千三つ(1000の事業案があれば事業化するものは3つの意味)」と言われます。ところが、事業化がうまくいかないプロジェクトの多くが、上記の④まで推移せずにたち消えます。事務局や経営者は「想いが足りない」「時間が足りない」と片づけがちですが、本当にそうなのか?と追跡したのがきっかけです。

追跡してわかったことは、「話し合い」に癖があるということです。例えば事業テーマの発散期に

・プロジェクトの実証には誰の許可を得ているのか
・もし根拠が不在な場合はどのように責任を取るのか
・過去に先行事例はあるのか

など、「正解探索」「正論論破」な発言によってプロジェクトが頓挫することが多いのです。

(※全文:2289文字 画像:あり)

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