『人事労務担当者のためのリテンション・マネジメント』

人手不足解消の鍵を握るのが、現有戦力の引き留めと活躍促進、すなわちリテンションだ。このテーマについてあらゆる角度から論じた「リテンション大全」とも言うべき本を、著者みずから解題。

リテンションとは何か

山本 寛

山本 寛

青山学院大学名誉教授
博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。専門は働く人のキャリアと、それに関わる組織のマネジメント。著書に『人材定着のマネジメント』(中央経済社、2009年)、『「中だるみ社員」の罠』(2017年)、『なぜ、御社は若手が辞めるのか』(2018年)、『連鎖退職』(2019年、以上、日本経済新聞出版)、『転職とキャリアの研究 [改訂版]』(2008年)、『自分のキャリアを磨く方法』、『働く人のためのエンプロイアビリティ』(2014年)、『昇進の研究[増補改訂版]』、『働く人の専門性と専門性意識』(2023年、以上、創成社)がある。

 

『人事労務担当者のためのリテンション・マネジメント――人材流出を防ぐ実践的アプローチ』

『人事労務担当者のための
リテンション・マネジメント
──人材流出を防ぐ実践的アプローチ』
山本 寛 著
日本法令、2025年2月
A5判、232ページ
本体2,600円+税

現在わが国では、人口減少と構造的な少子高齢化により、多くの業種、組織で採用難と人手不足が深刻化している。転職者数の増加が、それに拍車をかけている。ある調査によると、企業も正社員も、人手不足の原因として「新規の人材獲得が困難になっている」に次いで、「従業員の自発的な離職の増加」を挙げている(労働政策研究・研修機構 2019)。

これまで高齢者や女性、外国人の就業の促進や、ロボットやAIの導入による省力化等、人手不足解消に向け様々な取組みがなされてきた。しかし、グローバルにみてもわが国の高齢者や女性の就業率はすでに高い水準にある。また、人が担ってきた仕事を全面的にロボット等に置き換えるには、さらなる技術革新が必要であり、そのうえ導入費用等、相当のコストがかかる欠点も指摘されている。つまり、今後も進行が予想される人手不足解消には、それらの施策だけでは不十分なのである。

(※全文:3838文字 画像:あり)

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