高年齢者の「すりかえ合意」が導く 主体的な就業選択と労働市場の均衡

60歳以降も働き続けたいと考える高年齢者は多い。しかし企業にとって、希望者全員の雇用継続は現実には難しく、選別に伴う摩擦も潜在的には生じやすい。高木朋代教授は、高年齢者が自ら身を引く「すりかえ合意」に着目し、摩擦を回避しながら、次の行動に向かうメカニズムを研究している。

「すりかえ合意」という行動が
高年齢者の就業選択に影響

高木 朋代

高木 朋代

敬愛大学 経済学部 教授
専門は人的資源管理論、組織行動論、労働社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程。博士(社会学)。高年齢者の雇用問題について長年研究を行い、『高年齢者雇用のマネジメント』(日本経済新聞出版社)で、「第49回エコノミスト賞」「第23回冲永賞」「第25回組織学会高宮賞」「日本労務学会賞」「日本労働社会学会賞」などを受賞。近年では、高年齢者および障害者の社会生活と雇用について、国際比較研究を手がけている。

── 高年齢者の雇用について、現 状の課題をどう見ていますか。

65歳までの雇用確保が義務化されている一方で、希望者全員を65歳まで継続して雇用することは、多くの企業にとって大きな負担になっています。雇用機会が限られる中で、企業側には人材を選別したいというインセンティブが働くのが現実です。その結果、高年齢者の雇用を促進する政策が、かえって「誰が残り、誰が去るのか」を巡る葛藤を生み、職場環境の悪化につながりかねないという懸念があります。

(※全文:3385文字 画像:あり)

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