エンプロイアビリティからプロアクティビティへ
エンプロイアビリティ偏重では、年齢多様性の職場で成果が上がりにくい。シニアに期待する役割を明確にし、プロアクティビティ(先回りの自発的行動)を関係づくりで促す方策を述べる。
シニア活用をめぐる職場の変化
定年延長・再雇用が一般化し、職場では「年下上司×年上部下」が当たり前になりました。シニアを「雇用保障・福祉の対象」ではなく、経験知を活かす戦略的資源として活用するには、個人の能力開発(学び直し)だけでなく、仕事の役割と関係性をどう設計するか(ジョブ・デザイン/関係のマネジメント)が重要です。私は、シニアの持続的エンプロイアビリティを能力(A)・動機づけ(M)・機会探索(O)で捉えてきましたが、近年の実務課題は「O(機会)をつくる」の中身が、配置ではなく「役割設計」へ移っている点にあります。
「雇われ続ける力」から
「価値を生み続ける行動」へ
竹内 規彦
早稲田大学大学院経営管理研究科 教授
名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程修了 博士(学術)。専門は組織行動論・人材マネジメント論。青山学院大学准教授等を経て、2012年より早稲田大学ビジネススクールにて教鞭をとる。2017年より現職。現在、Asia Pacific Journal of Management副編集長、 欧州Evidence-based HRM誌編集顧問。Association of Japanese Business Studies(米国)会長、経営行動科学学会会長、京都大学経営管理大学院客員教授、國立成功大學(台湾)客員教授等を歴任。組織診断用サーベイツールの開発及び企業での講演・研修等多数。
従来のシニア施策は、エンプロイアビリティ(働き続けるための能力)を高める発想が中心でした。しかし現代の成果は、タスク遂行だけでは決まりません。現場では、タスクに加えて「チームへの貢献」「組織への貢献」(知識共有、後進育成、部門間連携、リスクの先回り等)が同時に求められます。環境変化が激しいほど、改善提案や先回り行動といった「プロアクティビティ」がより強く求められます。
一方で、シニアのパフォーマンスは一律に低下するわけではありません。私が行った研究でも、シニア層でタスク遂行が大きく落ち込まないこと、さらに職務への熟達志向(プロフィシエンシー)が高まりやすいことが確認されています。つまり課題は「できない」よりも、「何を期待し、どこで貢献してもらうか」が曖昧なまま、力の出しどころが失われる点にあります。
(※全文:2261文字 画像:あり)
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