大企業と中小企業で広がるAI格差 従業員規模や地域で導入状況に開き
ラグザス株式会社は、企業におけるAIツールやAI機能の業務活用実態を把握するため、全国のビジネスパーソン3,000人を対象としたアンケート調査を実施した。調査の結果、大企業を中心にAIの業務実装が本格化している一方で、中小企業や地方企業では導入の意向および活用状況に大きな開きがあるという実態が浮き彫りになった。
企業規模によって約2.7倍の開きが生じるAI導入率の差
今回の調査において最も顕著な動向が見られた要素は、企業規模によるAI導入状況の差異である。AIツールやAI機能を「積極的に活用している」「一部で活用している」「試験的・実験的に使用している」と回答した割合を合計したAI導入率を算出すると、従業員5,001名以上の大企業では64.7%に達した。これに対して、従業員1〜300名の中小企業におけるAI導入率は23.7%にとどまり、両者の間には約2.7倍の格差が存在することが明らかになった。
大企業の内訳に注目すると、「導入されており、積極的に活用している(複数部署・業務で活用)」という回答が34.9%を占めている。この数値は、大企業においてAIの活用が一部の試験的な運用の枠を超え、複数の部署や多角的な業務領域において本格的に定着し始めている状況を示している。
その一方で、中小企業におけるAI導入率は23.7%という低い水準にとどまっている。AIを既に導入している企業であっても、その多くは特定の部署や限定的な用途での利用、あるいは試験的・実験的な試行段階に位置しており、全社的な業務への実装には至っていない事例が少なくないと推測される。組織規模が大きい企業ほど、AIの導入推進に必要な専門人材、予算、社内体制を確保しやすく、業務プロセスへの実装が円滑に進みやすい傾向がある。しかし中小企業においては、AI活用の必要性を認識していても、具体的な導入手法や適用すべき領域を特定できず、本格的な導入を躊躇している企業が多い。
中小企業の約6割がAI導入予定なしと回答、意識の解離が鮮明に
大企業ではAIの組織的な活用が進展しており、従業員5,001名以上の大企業における「導入されており、積極的に活用している(複数部署・業務で活用)」という回答は35.7%にのぼる。業務効率化や生産性向上を目的として、組織全体にAIを組み込む体制づくりが進行している状況が読み取れる。
これとは対照的に、従業員1〜300名の中小企業では「導入の予定はない・必要性を感じない」という回答が59.0%と、全体の約6割を占める結果となった。大企業で実務への実装が加速する一方で、中小企業では導入に向けた一歩を踏み出していない組織が過半数を超えており、AI活用に対する必要性の認識や社内の受入体制に、極めて大きな隔たりが生じている。
中小企業の内部でAI活用の機運を醸成し、導入率を向上させるためには、具体的な業務における活用事例や導入によって得られるメリットを平易に提示し、導入への心理的・技術的ハードルを下げる支援体制の確立が求められる。
都市部と地方で生じる地域的なAI活用温度差
AIの活用格差は企業規模にとどまらず、勤務地や事業所の所在地といった地域的な要素によっても引き起こされている。地域別の調査結果によると、大都市圏でAIの活用が先行している動向が明らかになった。「導入されており、積極的に活用している(複数部署・業務で活用)」の割合は、東京都、大阪府、愛知県名古屋市において24.1%を記録したものの、その他の地方・地域では6.0%という低い割合にとどまり、都市部と地方の間で明確な差異が確認された。
「導入されており、一部で活用している(特定部署・用途のみ)」という回答に関しても、東京都、大阪府、愛知県名古屋市で19.3%、神奈川県、埼玉県、千葉県で19.0%、政令指定都市を有する県で20.8%を記録している。一方で、その他の地方・地域におけるこの割合は11.2%であり、都市部を中心にAI活用が浸透している動向が示された。
さらに「導入の予定はない・必要性を感じない」という回答の割合は、その他の地方・地域で62.0%と最も高い数値を記録し、東京都、大阪府、愛知県名古屋市の35.5%を大きく上回る結果となった。大都市圏の企業が業務へのAI組み込みを進める一方で、地方に位置する企業では導入の必要性そのものを感じていない層が多く、地域間での温度差が広がっている。この格差を解消し、日本全国へAI活用を普及させるためには、都市部で蓄積された先進的な活用事例を地方へ展開し、地方企業が自社の業務に置き換えて導入検討を行えるような環境整備と情報提供が必要不可欠である。
調査概要
本調査はインターネット調査の手法を採用し、全国を対象地域として実施した。調査実施期間は2026年4月3日から2026年4月6日までであり、調査対象は全国のビジネスパーソンとした。最終的な回答数は3,000名である。