【次期学習指導要領改訂】専門高校の科目組み換えが可能に

文部科学省は令和8年4月8日、中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会産業教育ワーキンググループ(第6回)を開催した。今回のワーキンググループの議事録によると、事務局からの説明として、同年2月19日および3月30日に開催された「教育課程部会総則・評価特別部会」における高等学校の教育課程柔軟化に向けた方向性が紹介され、それを踏まえた専門教科・科目における配慮事項や論点について、委員による審議が行われた。

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次期改訂における主要な論点の一つが、各学校の判断による「教育課程の柔軟化」と「学習評価の見直し」である。産業界と連携し、職業人の育成を担う専門高校において、この柔軟化がどのような影響をもたらすのか、議事録から明らかになった具体策と現場の懸念、今後の方向性を解説する。

「科目の柔軟な組み換え」がもたらす専門高校の特色化

次期改訂では、多様な生徒一人一人に応じる視点や、社会変化を牽引する人材育成を進める視点から、既存の教科・科目の内容を各学校の判断で移行・統合できる仕組みを通常の学校へ導入する方向で議論が進められている。議事録の紹介によると、共通必履修科目と専門選択科目の内容の重複を避けて「余白」を生み出し、探究的な学びを充実させることや、複数の専門科目を組み合わせて実社会の課題解決に直結する一体的なパッケージ科目を新設することが可能になる。

専門高校において科目を組み換える場合の指針としては、まず共通教科と専門教科を組み換える場合、専門高校の特性に鑑み、専門教科の学びが一層充実する観点から行われることが審議された。また、組み換えにより、専門教科全体の学びがより系統的・体系的、あるいは実践的・探究的となることが求められるとされた。加えて、原則必履修科目である「基礎的な科目」や「課題研究」も組み換えの対象から排除しない方向で議論が進められた。

特に「課題研究」については、カリキュラム・マネジメントの中核的な科目として、生徒が自己の在り方・生き方に繋がる実社会の課題を探究できるよう、今回の組み換えの仕組みを活用していくことが期待されている。

「1単位=17コマ」への見直しと職業資格取得の課題

教育課程の柔軟化を支えるもう一つの柱が、単位の計算方法の見直しである。総則・評価特別部会の議論として紹介された内容によると、現行の「50分×35コマ=1単位」から、次期改訂では「50分×17コマ=1単位」を標準とする方向性が示された。これにより半期での単位認定などが容易になり、コンパクトで多様な学習展開が可能になる。

しかし、この変更は専門高校が強みとする「職業資格の取得」において課題を投げかけている。水産高校の海技士、看護高校の看護師、福祉高校の介護福祉士など、所管省庁の指定規則に基づく養成施設となっている学科では、資格取得に必要な単位数や時間数が定められている。文部科学省の単位計算の変更に伴い、現場での時間数確保や単位認定の判断に影響が生じる可能性がある。

議事録では、委員から、必要な学習時間の確保と学校現場の円滑な教育課程編成を両立させるため、文部科学省と厚生労働省など関係省庁による統一的な考え方の提示や、モデルカリキュラムの提示を求める声が上がったことが記録されている。また、教員の働き方改革の観点からも、早朝・放課後・週休日に及ぶ資格取得指導を正規の授業内にどう位置づけていくか、柔軟な学校設定科目の在り方が論点として示された。

シンプルで実質的な学習評価へ、外部評価の活用とパフォーマンス評価の導入

学習評価の面でも、教員の評価負担を軽減しつつ、生徒の学びの深まりを見取るための見直しが進められている。

特に注目されるのが、「学びに向かう力・人間性等」の評価方法の変更である。直接見取りにくい情意面(学びを方向づける人間性)は総合所見欄での個人内評価に留め、観察可能な「学びに向かう力の3要素(初発の思考や行動、学びの主体的な調整、対話と協働)」については、思考・判断・表現の過程と一体的に見取る。長期間にわたる継続的な発揮が確認できた場合に「○」を付記し、これが思考・判断・表現の観点別評価を介して評定に影響を与える設計となることが紹介された。

専門教科・科目における特有の評価方針として、議事録内では次の2点が提示されている。

第一に、産業界等との連携協働による評価の加味である。インターンシップや外部人材による実習指導が増える中、教員のみで生徒の姿をすべて見取ることは困難であるため、事前に評価基準等について産業界などと共通理解を図ったうえで、産業界等の外部人材からの評価材料を積極的に評価に加味する方針を明示するとされた。

第二に、パフォーマンス評価の積極的導入である。総授業時数の10分の5以上を実験・実習に充てる専門高校の特性、および卒業後の即戦力としての期待に鑑み、実際の行動や成果物を通じて資質・能力を測るパフォーマンス評価を前提とした評価資料の整備を進めるとされた。

次期学習指導要領改訂は、専門高校の独自性を活かす機会であると同時に、教員のカリキュラム編成力や産業界との連携の質が問われる。文部科学省は今後、制約や懸念事項を整理した上で、現場が円滑に教育課程を構築できるよう、好事例の周知や横展開を図っていく方針を示している。

文部科学省は令和8年4月8日、中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会産業教育ワーキンググループ(第6回)を開催した。今回のワーキンググループの議事録によると、事務局からの説明として、同年2月19日および3月30日に開催された「教育課程部会総則・評価特別部会」における高等学校の教育課程柔軟化に向けた方向性が紹介され、それを踏まえた専門教科・科目における配慮事項や論点について、委員による審議が行われた。

次期改訂における主要な論点の一つが、各学校の判断による「教育課程の柔軟化」と「学習評価の見直し」である。産業界と連携し、職業人の育成を担う専門高校において、この柔軟化がどのような影響をもたらすのか、議事録から明らかになった具体策と現場の懸念、今後の方向性を解説する。

「科目の柔軟な組み換え」がもたらす専門高校の特色化

次期改訂では、多様な生徒一人一人に応じる視点や、社会変化を牽引する人材育成を進める視点から、既存の教科・科目の内容を各学校の判断で移行・統合できる仕組みを通常の学校へ導入する方向で議論が進められている。議事録の紹介によると、共通必履修科目と専門選択科目の内容の重複を避けて「余白」を生み出し、探究的な学びを充実させることや、複数の専門科目を組み合わせて実社会の課題解決に直結する一体的なパッケージ科目を新設することが可能になる。

専門高校において科目を組み換える場合の指針としては、まず共通教科と専門教科を組み換える場合、専門高校の特性に鑑み、専門教科の学びが一層充実する観点から行われることが審議された。また、組み換えにより、専門教科全体の学びがより系統的・体系的、あるいは実践的・探究的となることが求められるとされた。加えて、原則必履修科目である「基礎的な科目」や「課題研究」も組み換えの対象から排除しない方向で議論が進められた。

特に「課題研究」については、カリキュラム・マネジメントの中核的な科目として、生徒が自己の在り方・生き方に繋がる実社会の課題を探究できるよう、今回の組み換えの仕組みを活用していくことが期待されている。

「1単位=17コマ」への見直しと職業資格取得の課題

教育課程の柔軟化を支えるもう一つの柱が、単位の計算方法の見直しである。総則・評価特別部会の議論として紹介された内容によると、現行の「50分×35コマ=1単位」から、次期改訂では「50分×17コマ=1単位」を標準とする方向性が示された。これにより半期での単位認定などが容易になり、コンパクトで多様な学習展開が可能になる。

しかし、この変更は専門高校が強みとする「職業資格の取得」において課題を投げかけている。水産高校の海技士、看護高校の看護師、福祉高校の介護福祉士など、所管省庁の指定規則に基づく養成施設となっている学科では、資格取得に必要な単位数や時間数が定められている。文部科学省の単位計算の変更に伴い、現場での時間数確保や単位認定の判断に影響が生じる可能性がある。

議事録では、委員から、必要な学習時間の確保と学校現場の円滑な教育課程編成を両立させるため、文部科学省と厚生労働省など関係省庁による統一的な考え方の提示や、モデルカリキュラムの提示を求める声が上がったことが記録されている。また、教員の働き方改革の観点からも、早朝・放課後・週休日に及ぶ資格取得指導を正規の授業内にどう位置づけていくか、柔軟な学校設定科目の在り方が論点として示された。

シンプルで実質的な学習評価へ、外部評価の活用とパフォーマンス評価の導入

学習評価の面でも、教員の評価負担を軽減しつつ、生徒の学びの深まりを見取るための見直しが進められている。

特に注目されるのが、「学びに向かう力・人間性等」の評価方法の変更である。直接見取りにくい情意面(学びを方向づける人間性)は総合所見欄での個人内評価に留め、観察可能な「学びに向かう力の3要素(初発の思考や行動、学びの主体的な調整、対話と協働)」については、思考・判断・表現の過程と一体的に見取る。長期間にわたる継続的な発揮が確認できた場合に「○」を付記し、これが思考・判断・表現の観点別評価を介して評定に影響を与える設計となることが紹介された。

専門教科・科目における特有の評価方針として、議事録内では次の2点が提示されている。

第一に、産業界等との連携協働による評価の加味である。インターンシップや外部人材による実習指導が増える中、教員のみで生徒の姿をすべて見取ることは困難であるため、事前に評価基準等について産業界などと共通理解を図ったうえで、産業界等の外部人材からの評価材料を積極的に評価に加味する方針を明示するとされた。

第二に、パフォーマンス評価の積極的導入である。総授業時数の10分の5以上を実験・実習に充てる専門高校の特性、および卒業後の即戦力としての期待に鑑み、実際の行動や成果物を通じて資質・能力を測るパフォーマンス評価を前提とした評価資料の整備を進めるとされた。

次期学習指導要領改訂は、専門高校の独自性を活かす機会であると同時に、教員のカリキュラム編成力や産業界との連携の質が問われる。文部科学省は今後、制約や懸念事項を整理した上で、現場が円滑に教育課程を構築できるよう、好事例の周知や横展開を図っていく方針を示している。