2026年度の文化勲章に宮本茂氏ら8人 文化功労者は渡辺貞夫氏ら21人

文部科学省は、2026年11月3日付で発令された2026年度の文化勲章受章者と文化功労者を公表した。文化勲章は8人が受章し、文化功労者には21人が選ばれた。文化勲章には、メディア芸術(ゲーム)の分野から、ゲームプロデューサーで任天堂株式会社代表取締役フェローの宮本茂氏が選ばれている。2026年のノーベル化学賞受賞が決まった東京理科大学栄誉教授の硤合憲三(そあい・けんそう)氏は、文化勲章と文化功労者の両方に選出された。 

文化勲章は8人、ノーベル賞の硤合氏も選出

文化勲章は、文化の発達に関して特に顕著な功績のある人に贈られる勲章だ。受章者は原則として、前年度までに文化功労者に選ばれた人の中から選ばれる仕組みになっている。 

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今年度の受章者のうち、デザイン(照明)の分野からは照明デザイナーの石井幹子氏、建築の分野からは日本芸術院会員で建築家の伊東豊雄氏が受章する。学術分野からは、日本学士院会員で東京大学名誉教授の黒岩常祥氏(生物科学)と塩川徹也氏(フランス文学)、東京理科大学栄誉教授の硤合氏(有機合成化学)、日本学士院会員で大阪大学栄誉教授、京都大学名誉教授の長田重一氏(免疫学)の4人。音楽からは作曲家の都倉俊一氏(大衆音楽・音楽著作権)、ゲームからは宮本氏が加わり、受章者は計8人となった。

8人の職名には、いずれも「文化功労者」と記されている。このうち7人は前年度までに文化功労者に選ばれていた。硤合氏は今年度の文化功労者名簿にも名前があり、文化勲章と同じ年の選出となる。

硤合氏は、スウェーデン王立科学アカデミーが2026年10月7日に発表したノーベル化学賞の受賞者で、フランスのアンリ・B・カガン氏との共同受賞だ。英文で示された授賞理由を訳すと、不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用の発見となる。硤合氏は東京理科大学に在籍していた時期に、反応でできた物質そのものが触媒となって同じ反応を進める「不斉自己触媒反応」を世界で初めて発見した。「硤合反応」として知られるこの反応は、生命を形づくる分子が、鏡に映したような2つの型のうち片方に偏っている理由という、生命の起源にかかわる謎の解明につながる研究として注目されてきた。

ゲームの分野から受章する宮本氏は、1977年に任天堂株式会社へ入社し、『ドンキーコング』『スーパーマリオ』『ゼルダの伝説』をはじめ、ゲームの歴史に残る作品を数多く手がけてきた。今回の受章分野は「メディア芸術(ゲーム)」として発表されている。 

文化功労者は芸術から学術まで21人

文化功労者は、文化の向上発達に特に功績のあった人に年金を支給し、その功績をたたえる制度で、1951年度に始まった。根拠となる法律は文化功労者年金法である。今年度の21人は、芸術、学術、スポーツ、文化振興と幅広い分野にわたる。

音楽の分野では、ジャズ・サックス演奏家の渡辺貞夫氏(本名・渡邊貞夫)、日本芸術院会員で指揮者の尾高忠明氏、日本芸術院会員で作曲家、ピアノ演奏家、指揮者の野平一郎氏が顕彰を受ける。伝統芸能からは3人が入った。日本芸術院会員で重要無形文化財「京舞」(各個認定)保持者、日本舞踊家の井上八千代氏(本名・觀世三千子)、重要無形文化財「琉球舞踊立方」(各個認定)保持者で琉球舞踊家の志田房子氏(本名・志田フサ子)、日本芸術院会員で重要無形文化財「能シテ方」(各個認定)保持者、能楽師の友枝昭世氏である。このほか芸術の分野では、歌人の伊藤一彦氏、日本芸術院会員で日本画家の千住博氏、建築史家・建築家で東京大学名誉教授の藤森照信氏、アニメーション映画監督のりんたろう氏(本名・林重行)が名を連ねた。

学術分野では、身近な製品やエネルギーにつながる材料研究から2人が選出された。名城大学特任教授で大同特殊鋼株式会社顧問の佐川眞人氏(磁性材料学)は、1982年にネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする永久磁石「ネオジム磁石」を発明した。この磁石は、電気自動車のモーターや風力発電機、コンピューター、家電製品など、さまざまな製品に広く使われている。桐蔭横浜大学特任教授で早稲田大学特命教授の宮坂力氏(エネルギー変換材料化学)は、ペロブスカイト太陽電池の発明者として知られる。 

生命科学の分野からは、理化学研究所領域総括で京都大学名誉教授の西田栄介氏(分子生物学)、日本学士院会員で東京大学名誉教授、石川県立大学名誉教授の西澤直子氏(植物栄養学)、奈良先端科学技術大学院大学理事(非常勤)で京都大学名誉教授、甲南大学名誉教授の西村いくこ氏(植物細胞生物学)の3人。人文・社会科学からは、京都大学名誉教授の加藤尚武氏(哲学、倫理学)と、日本学士院会員で東京大学名誉教授の中山信弘氏(知的財産法)が加わる。有機合成化学の分野では、文化勲章と同時に選ばれた硤合氏もこの名簿に入っている。

スポーツと文化振興の分野からも3人が顕彰される。スポーツ振興(ゴルフ)の分野からはプロゴルファーの岡本綾子氏、障害者スポーツ振興の分野からはNPO法人日本視覚障害者柔道連盟顧問で元日本代表監督の柿谷清氏、文化振興の分野からは実業家でぴあ株式会社代表取締役社長の矢内廣氏である。

今年度の文化勲章受章者と文化功労者は、学術や芸術に加え、ゲーム、アニメーション、スポーツ、文化振興の担い手まで、多様な分野に及んでいる。

詳細はこちら

文化功労者
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2026/1422025_00001.htm

文化勲章受章者
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2026/1422026_00001.htm