【7月24日松本洋平文科大臣会見詳報】教員の精神疾患離職は過去最多1319人に
松本洋平文部科学大臣は2026年7月24日の閣議後記者会見で、骨太の方針2026と日本成長戦略の閣議決定、令和7年度文部科学白書の公表、「地域構想推進プラットフォーム」構築等推進事業の採択結果について説明した。あわせて、ユネスコ世界遺産委員会が「佐渡島の金山」の保全状況に関する決議を採択したことへの受け止めや、精神疾患を理由に離職した公立学校教員が過去最多となったことへの対応方針についても、記者の質問に答えた。
骨太方針に文教施策を反映
政府は2026年7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太の方針2026)と「日本成長戦略」を閣議決定した。松本大臣は、文部科学省が取りまとめた「人材育成システム改革ビジョン」の内容を含め、同省の重要施策が両方針に盛り込まれたと説明した。経済財政諮問会議では、文系より理系を重視していると誤解されないよう積極的に発信すべきだとの意見が出席議員から示されたことも紹介した。
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文理分断の脱却目指す
松本大臣は、文部科学省としてはもともと人文社会科学の重要性を認識した上で、長年続く文系と理系の分断構造を乗り越える必要があると考えていると強調した。高校の早い段階で理系科目から離れる生徒が多いことや、大学で理工系を学ぶ学生の割合が低いことを課題に挙げ、高校から大学までを通じて文理の枠を超えた学びへ転換し、歴史や哲学に関心を持つ技術者や、AI・情報科学を理解するビジネスパーソンなど、幅広い知識と視野を備えた人材を育てる方針を示した。今後は概算要求などを通じて、骨太の方針や成長戦略に盛り込まれた各施策の実現に取り組むとした。
白書に働き方改革の特集
文部科学省は同日の閣議に令和7年度文部科学白書を配布した。白書は、教師が子ども一人一人と向き合える学校の実現に向けた働きやすさと働きがいというテーマと、日本国内で開催される国際競技大会というテーマの2つを特集として取り上げている。前者では、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の改正法と義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)の改正法が成立するまでの経緯や関連政策の展開を紹介し、後者では、2025年度に日本で開催された世界陸上競技選手権大会やデフリンピックの軌跡、同年秋開催予定のアジアパラ競技大会に向けた取り組みを紹介している。松本大臣は、国民に活用される白書を目指すとともに、教育や科学技術、学術、スポーツ、文化芸術の各分野における施策の充実を図る考えを示した。
地域構想事業、20件採択
文部科学省は「地域構想推進プラットフォーム」構築等推進事業の採択結果を公表した。同事業には合計37件の申請があり、外部有識者による審査を経て20件が採択された。採択された案件では、大学の学長や知事、地域の産業界などとの連携体制、高校教育改革と連動した大学改革の推進といった点が評価されたという。松本大臣は、実効性のある取り組みが各地域で推進されることに期待を示し、地域の持続的な発展に向けて引き続き取り組む考えを述べた。
佐渡金山、歴史説明強化へ
韓国・釜山で開催中の第48回世界遺産委員会は2026年7月23日、「佐渡島の金山」(新潟県)の保全状況報告書を審議し、採掘が行われていた全ての時期を通じた歴史の説明を強化するよう日本政府に求める決議をコンセンサスで採択した。委員会は、関係国と協議した上で対応状況の報告書を2027年12月1日までに提出することも要請している。佐渡島の金山は2024年に世界遺産へ登録されており、今回が登録後初めての保全状況審査だった。木原稔内閣官房長官は2026年7月23日の記者会見で、世界遺産登録時に勧告された事項に進捗があったことが歓迎され、歴史全体に関わる展示戦略の取り組みについても進捗を評価する記載があるとして、日本のこれまでの取り組みが評価されたとの認識を示している。松本大臣もこの説明を踏襲し、政府の見解に沿って関連の取り組みを引き続き推進していく考えを述べた。なお、決議は歴史説明のどの部分が不足しているかを具体的には明示していない。
教員の精神疾患離職、最多に
文部科学省は2026年7月22日、令和7年度「学校教員統計調査」の中間報告を公表した。これによると、2024年度に精神疾患を理由に離職した公立小中高校の教員は1319人で、前回の2021年度調査(950人)より369人増え、過去最多を更新した。定年退職を除く離職者1万5540人のうち約8.5%を占める。学校種別では、小学校が801人(前回比232人増)、中学校が365人(同88人増)、高校が153人(同49人増)で、いずれも過去最多となり、小学校は2015年度の331人と比べて約2.4倍に増えた。松本大臣はこの結果を深刻かつ重く受け止めるとした上で、児童生徒への指導をめぐる職場の対人関係や、調査対応などの事務的業務といった複数の要因が複合的に影響していると考えられ、離職者数が増加した原因を一概に特定することは難しいと説明した。今後は学校における働き方改革を加速させるとともに、改正給特法に基づく業務量の管理や健康確保のための計画の推進、学校と教師の業務を3分類した業務の見直し、校務のデジタル化、教職員定数の改善や支援スタッフの配置などに取り組む方針を示した。あわせて、セルフケアの促進や管理職による予防的なケア、復職支援、ストレスチェックの実施、相談体制の充実といったメンタルヘルス対策も進め、教員が心身ともに健康な状態で子どもと向き合える環境づくりを目指すとしている。
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