長崎大学長 プラネタリーヘルスに貢献、「地球規模で考える」人を育てる

江戸時代末期の医学伝習にルーツを持ち、長い歴史を誇る長崎大学。今、地球の持続可能性が危ぶまれる時代において、長崎大学は「プラネタリーヘルスへの貢献」をビジョンに掲げる。「地球の健康」に資する教育研究の取組みと今後の展望について、河野茂学長に話を聞いた。

プラネタリーヘルスの
世界的な教育研究拠点を目指す

河野 茂

河野 茂

長崎大学長
1950年生まれ。長崎県出身。医学博士(長崎大学)。1974年長崎大学医学部を卒業。1980年長崎大学大学院(病理学)修了後、1982年まで米国ニューメキシコ州立大学医学部病理学教室に留学。長崎大学医学部附属病院、佐世保市立総合病院、長崎市立病院成人病センターでの勤務を経て、1985年長崎大学医学部助手、1990年講師、1996年教授。2006年長崎大学医学部長、2009年理事・病院長、2014年理事・副学長を歴任し、2017年10月より現職。

──長崎大学は将来ビジョン、戦略目標として「プラネタリーヘルスへの貢献」を掲げています。ビジョンに込められた思いや、目指す方向性をお聞かせください。

本学は1857(安政4)年、オランダ軍医のポンペ・ファン・メールデルフォールトが長崎奉行所西役所の一室で医学伝習を開始したことを創基としています。医学部と薬学部は長い歴史を誇り、現在では10学部7研究科2研究所を擁する総合大学として、地域に根差しながら世界に比肩する教育研究を推進しています。

ただし、幅広い分野の教育研究をカバーしているために、大学全体として進むべき方向性を見出しづらいという懸念もありました。そこで2020年1月に大学の将来ビジョン、戦略目標として「プラネタリーヘルス(Planetary Health)への貢献」を宣言したのです。

プラネタリーヘルスとは「地球の健康」です。現在、世界には地球規模の課題が山積しています。コロナウイルスによるパンデミック、…

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