人が集い、交流する公共図書館 まち全体へ「知と交流」を広げる

吉成信夫氏は岐阜市の市立図書館において、2015年から5年間、図書館長を務め、その後4年間、複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の総合プロデューサーを務めた。図書館や公共施設を「人が集まる場」へと発展させた取組みについて、話を聞いた。

本を貸し出すだけでなく、
図書館をコミュニティの拠点に

吉成 信夫

吉成 信夫

元・みんなの森 ぎふメディアコスモス 総合プロデューサー
1956年生まれ、東京都出身。成蹊大学卒。C(I コーポレート・アイデンティティ)コンサルティング会社(東京)などを経て、家族と岩手県に移住。石と賢治のミュージアム(一関市)立ち上げに奔走。廃校を活用したサスティナブルスクール「森と風のがっこう」を開校。県立児童館いわて子どもの森初代館長を務めた。その後、岐阜市立図書館長、ぎふメディアコスモス総合プロデューサーを2024年4月まで9年間務めた。東海国立大学機構参与、明石市本のまち推進アドバイザー、中部学院大学・短期大学客員教授も務める。

──吉成さんは岐阜市立図書館長、ぎふメディアコスモス総合プロデューサーとして、数々の取組みを推進されました。

もともと私は岩手県で児童館やミュージアムを立ち上げたり、廃校を再活用したサスティナブルスクールを運営していましたが、東日本大震災に遭い、公共施設が人々にとってどれほど大切な“居場所”になり得るかを実感しました。そうした経験から、「図書館は本を貸すだけではなく、人々が出会い、学び合うコミュニティ拠点になるべきではないか」と考えていました。

岐阜市では、建築家の伊東豊雄さんが設計を手掛ける図書館を含めた複合施設の構想が進んでいました。その建築は高い天井と格子状の木造屋根、そして視線を遮る壁が少ない開放的なつくりが印象的で、最初に見た時からとても魅力的に思えました。

私はメディアコスモスを「屋根のついた公園」と表現しています。人が思い思いにくつろぎながら、…

(※全文:2370文字 画像:あり)

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