トップランナーによる対話型授業の魅力:「教育CIO養成課程」第3期への評価

社会構想大学院大学は、2025年2月に新たな短期プログラム「教育CIO養成課程」を開講し、10月に第3期修了生を輩出した。「教育情報化の伴走者」としての教育CIOを養成する同課程にはどのような属性の受講者が集まり、同課程はどのような評価を受けたのか。今回は実際の修了生の声を紹介する。

GIGAスクール構想の目的、すなわち「情報技術を用いて子どもたちの学びをより深く・より豊かにすること」を達成するためには、教育現場における情報技術の適切な活用を支え、推進できる専門人材としての「教育CIO」が不可欠であり、社会構想大学院大学ではこうした人材を養成するため、オンラインで全国から受講可能な「教育CIO養成課程」第3期を2025年9月から10月まで開講した。今回は、修了生が本課程における学びをどのように評価しているか紹介する。

第3期には教育委員会・学校・その他教育系団体等から5名、教育支援業や情報通信業をはじめとする民間企業から6名の計11名が参加し、少人数ならではの集中的・対話的なプログラムが展開された。本課程はオンライン受講が可能であることから、このうち6名が一都三県以外からの参加者であった。これにより受講者は平時の業務で認識することの少ない他地域の状況にも目を向けることができ、このことは自身の勤務する教育委員会や教育現場の特殊性をあらためて認識するきっかけとなる。こうした属性面での多様性の高さは、第1期・第2期に引き続き本課程の特徴といえる。

毎回の授業は各分野のトップランナーが担当し、かつディスカッションやワークショップといった双方向の内容が含まれる。たとえば埼玉県戸田市の戸ヶ﨑勤教育長が教育ビジョン・教育計画の立案・浸透過程について教授する単元や、文部科学省の政策担当者が教育情報化政策の基礎的な内容を解説する授業においても、受講者は各自の経験や視点を基礎として他者との対話に取り組む。

この点、たとえば学校教諭の受講者からは「教職以外の方とのグループワークや発表時の意見交換で、視野を広げることや自らの不足している点に気づくことができた」との感想が得られており、本課程が一般的な業務では得ることの難しい視点や知見を一定程度提供できているものと考えられる。また、本課程のクオリティ・コントロールは同分野の行政・産業・学術それぞれの経験を有する中川哲教授が務めており、この点を高く評価する声も多くみられた。

加えて、本課程はMicrosoft Teamsを教務システムとして採用しており、授業中のコミュニケーションが容易に行えるほか、資料や他者の提出した課題を相互に確認できる点も受講者の学びに資するものといえる。

そして、授業のアーカイブ視聴とそれによる修了が可能であったことは、多忙な教育業界の受講者から歓迎された。実際にこれまでの受講者全体のうち20%程度はすべての回を事後的な録画データの視聴により学習しており、このような柔軟性の高さも好評を得た。

本年10月から開講中の第4期、来年5月開講予定の第5期においても、こうした点をさらにアップデートしつつ展開していきたい。