【6月12日鈴木憲和農林水産大臣会見】備蓄米が4回入札で全量落札 民間在庫249万トンで需給緩和、買い戻しは「状況見極めて判断」

農林水産省の鈴木憲和農林水産大臣は2026年6月12日の閣議後記者会見で、水田政策の見直しに関する地方説明会の開催、2026年産政府備蓄米の入札完了、中東情勢を受けた農業資材・食品容器のサプライチェーン調査の進捗、そして愛媛県産柑橘の新品種「紅プリンセス」の中国流出疑惑への対応の4点について説明した。

水田政策の見直し、全国8ブロックで地方説明会を開催

2025年4月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画に基づき、2027年度からの水田政策の根本的な見直しが進められており、今般「令和9年度からの水田政策の見直し」として取りまとめられた。鈴木大臣は、取りまとめの内容を現場の農業者や関係団体に説明するとともに意見を聴取するため、2026年6月22日(月曜日)から全国8ブロックで地方説明会を開催すると発表した。各説明会はWeb会議システムを通じてオンラインでも参加できる。

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大臣は今後の制度設計について、支援単価のあり方や要件など詳細な検討を進める上で「現場の皆様の率直なご意見を伺いたい」と述べ、生産条件が異なる農地を念頭に置きながら生産性向上に向けた議論を深める考えを示した。新たな水田政策では、従来の水田を対象とした支援から作物ごとの生産性向上支援へと転換を図る点が最大の特徴となっている。

2026年産政府備蓄米が第4回入札で全量落札

農林水産省は2026年6月10日、2026年産政府備蓄米買い入れの第4回入札結果を公表した。今回は3332トンを落札し、全4回の合計落札量は20万7521トンとなり、2026年産の買い入れ予定数量の全量を確保した。

鈴木大臣は入札結果について「各入札参加者が米の需給動向等を踏まえて応札した結果と冷静に受け止めている」と述べた。需給状況については、2026年4月末時点での民間在庫量が249万トンと4月末としては高い水準にあり、受給は前年と比べて緩和していると認識していると説明した。

一方、2025年3月以降に食用として売り渡した備蓄米の買い戻しについては、主食用の販売動向、民間在庫の状況、米粉メーカーなど非食用を取り扱う事業者の原料米ニーズ、米取引関係者による需給動向調査の結果、各地の意向といったデータを総合的に見定めた上で「適切に判断する」と述べるにとどめ、具体的な実施時期は明示しなかった。

中東情勢による農業資材・食品容器への影響、供給に問題なし

農林水産省が実施している農業資材・食品容器包装57項目のサプライチェーン調査については、2026年5月22日の会見で30項目について供給に問題がないと報告していた。6月12日の会見で鈴木大臣は、新たに17項目について供給に問題がないことを確認したと述べ、合計47項目で問題なしが確認されたことを明らかにした。

新たに供給問題がないと確認された品目の例として、農業用では育苗トレー・農薬・カット野菜用包装資材・エチレン・接着剤・キノコの包装資材、水産業では漁網・ロープ、食品産業では食品分析関係資材(ヘリウム)、流通分野では食品トレー・業務用ラップ・納豆の容器・味噌の容器・調味料の容器・アルミ箔・冷凍食品袋が挙げられた。残る10項目については調査を継続中であり、大臣は「小規模な事業者が多く、丁寧かつ正確に調査を進めたい」と述べた。

愛媛産高級柑橘の中国流出疑惑、育成者管理機関を今夏設立へ

記者から、中国のサイトで愛媛産柑橘が流出したと見られる事案が報道されていることへの事実関係と対応を問われた鈴木大臣は、問題となっているのは愛媛県が2005年から約20年の年月をかけて開発し、2025年春に本格販売が始まったばかりの高級柑橘「紅プリンセス(品種名:愛媛果試第48号)」であると説明した上で、2025年の段階で類似名称の果物が中国で販売されている事実を把握しており、愛媛県とも情報共有していると述べた。愛媛果試第48号は、愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所において2005年に交配を開始し、2022年に品種登録されるまで17年を要した愛媛県オリジナル品種である。

農林水産省は2020年の種苗法改正により、育成者権者が登録品種の海外持ち出しを制限できる制度を整備しているが、大臣は「育成者権者にとって、海外での権利行使や訴訟は、語学や法令の専門知識の面で大きな負担となっている」との認識を示した。対応策として、育成者権者に代わって権利保護を担う専門性のある育成者管理機関を今夏に立ち上げる方針を重ねて表明した。あわせて、育成者権の保護強化を目的とした種苗法改正法案が現国会で審議中であることに触れ、「成立に向けて全力を尽くす」と述べた。農林水産省は地理的表示品などの模倣品調査、権利者への情報提供、通販サイト運営者への削除要請といった日本ブランド保護対策を従来から実施しており、今回の事案もこうした取り組みの中で把握したものだとした。