従業員「退職」で倒産、昨年は過去最多を大幅更新 帝国データバンク
株式会社帝国データバンクは、人手不足による倒産のうち「従業員の退職を要因とした人手不足(従業員退職型)」の倒産発生状況について調査・分析を行った。なお、2024年以前の数値は最新の情報を基に再集計を実施している。
株式会社帝国データバンク・プレスリリースより。
2025年に判明した人手不足倒産427件のうち、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の倒産は、124件となった。前年(90件)から34件・37.8%増加し、初めて年間100件を超えるなど集計可能な2013年以降で最多を更新した。
2025年の「従業員退職型」倒産を業種別にみると、最も多いのが「建設業」(37件)で全体の29.8%を占めた。業務遂行に不可欠な資格を持つ現場作業員のほか、営業担当が相次いで退職し、事業運営が困難になったケースが目立った。次いで多いのが「サービス業」(29件)で、老人福祉施設やソフトウェア開発などIT産業、美容室などの業界が目立った。また、「製造業」(21件)は、初めて20件を超えて過去最多となった。
帝国データバンクが調査した「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」(2025年11月17日発表)では、正社員の人手不足を感じる企業の割合は51.6%と高い水準にある。特に建設や情報サービス、精密機械、医療機械・器具製造など「従業員退職型」の倒産が多く判明している業界での割合が高かった。
また、転職市場が活況となるなか、賃上げや福利厚生の改善によって良い人材を確保する動きが広がり、「待遇改善をしないことによる人材流出リスク」が中小企業を中心に高まっている。一方で、賃上げしたくても業績悪化などを理由に賃上げができない企業も多く、帝国データバンクでは、従業員に対し十分な報酬を支払う余力のない中小零細企業を中心に、「従業員退職型」倒産は今後も高水準で推移する可能性があるとしている。