イエナプラン教育は、個性を尊重し多様な学びを実現する選択肢の一つ

オランダで普及している、異年齢の子どもたちが同じ教室で自立的・協働的に学ぶ「イエナプラン教育」。従来型の一斉・画一形式の授業を見直す機運が高まる中、この新たな教育モデルは日本に根付くのか。福山市が開校を目指す、日本初のイエナプラン公立小学校に注目が集まっている。

異年齢で学ぶ、ドイツ発祥のイエナプラン教育

三好 雅章

三好 雅章

福山市教育委員会 教育長
1981年に同志社大学卒業後、広島県福山市立加茂中学校で社会科の教員としての教員生活をスタート。広島県教育委員会指導主事、福山市教育委員会事務局学校教育部長、福山市立一ツ橋中学校長などを経て、2014年より現職。

甲斐 和子

甲斐 和子

福山市立常石小学校 校長
1992年、広島県深安郡神辺町立(現在福山市立)神辺中学校に理科の教員として新規採用。1999年から福山市立道上小学校教諭。福山市立山野小学校教諭、福山市立川口小学校主幹教諭、福山市立伊勢丘小学校教頭を経て、2019年より現職。

黒板のない教室で学年の異なる子どもたちが円座になり、自分で立てた1週間の計画に沿って勉強する。友達に相談したり、下級生に教えたりするのも自由―。そんなイエナプラン教育を実践する初の公立小学校が、再編後の福山市立常石小学校の施設を活用して2022年4月に開校する。

イエナプラン教育とは、ドイツ・イエナ大学の教授だったペーター・ペーターゼンが創始し、オランダで普及しているオープンモデル型学校教育だ。通常、1~3年生と4~6年生の異年齢でクラス編成し、一人ひとりを尊重しながら自立と共生を育てることを重視する。

日本イエナプラン教育協会によれば、オランダ国内では公私立を合わせ220校以上が採用し、発祥地ドイツをはるかに凌ぐという。私立では2019年4月に開校した長野県の大日向小学校があるが、福山市で小学校が開校すれば、日本初の公立のイエナプラン校となる。

福山市はなぜイエナプラン校の創設に踏み切ったのか。福山市教育委員会の三好雅章教育長は「本来、全ての子どもたちは『やりたい・知りたい』という思いを持っています。そんな思いを素直に表現できるよう…

(※全文:3155文字 画像:あり)

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