「地方創生2.0基本構想」が閣議決定 まちづくり人材や社会教育人材の育成を推進

政府は6月13日、「地方創生2.0基本構想」を閣議決定した。2014年に「まち・ひと・しごと創生法」が施行され、地方創生政策が始まって10年が経つ中、その成果と課題の双方を踏まえ、次なる10年の基本方針を示している。

基本構想は冒頭で、国民の価値観の多様化により、一人ひとりの幸せを実現するためには「多様な地域・コミュニティ」が不可欠となっているとし、それを創り出すことが地方創生の意義であると説明。この意味で、地方創生は「単なる地域活性化策ではな」く、「多様な幸せを実現するための社会政策」であるとしている。

その上で、これまでの地方創生政策が、政府関係機関の地方移転や地方創生交付金など一定の成果は生みつつも、人口減少や東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至らなかったことに触れ、今後はそれとはまったく異なる「地方創生2.0」が必要であると指摘。以下の5つを通じ、それを実現していくとしている。

・安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生
・稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生
・人や企業の地方分散
・新時代のインフラ整備とAI・デジタルなどの新技術の徹底活用
・広域リージョン連携(都道府県や市町村よりも広い単位での連携)

5つのいずれにおいても人材を、財政、情報と並ぶ「三本の矢」のひとつとして重視し、施策を行っていくとしている。

具体的には、地方創生の専門的知見を持つ人材を中小規模の地方公共団体に派遣する「地方創生人材支援制度」や、国の職員が本来の業務を行いながら中小規模の地方公共団体を支援する「地方創生伴走支援制度」の拡充を図る。

また「地創塾」を開催し、地方を担う人材の育成と、好事例の共有に取り組む。社会教育人材を養成する講習については抜本的改革を行うとともに、社会教育人材のネットワークの構築・活性化を図る。

加えて、保護者や地域住民が学校運営に関与する「コミュニティ・スクール」や、地域住民や地元産業界が参加する「地域学校協働活動」を促進。これらを通じ、地域に愛着を持ち、地域で活躍する人材を育成するとしている。

基本構想は以下から読むことができる。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_chihousousei/pdf/20250613_honbun.pdf

aAdobeStock_236839687 (1)Image by 林宏樹 (Adobe Stock)