教育現場で進路指導のデータ活用8割超も「時間」と「質」に課題 生徒と向き合う時間不足
中学校・高等学校の教育現場において、生徒一人ひとりの適性に合わせた進路指導の重要性が増している。システックITソリューション株式会社は、全国の中学校・高等学校で進路指導を担当する教員1,005名を対象に「教員が感じる進路指導の課題とデジタル活用の可能性」に関する調査を実施した。調査の結果、教育現場におけるデジタル活用の普及と、それだけでは解決できない「時間」と「質」の壁が浮き彫りとなった。
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データ活用の現状 導入は進むが「事務処理」が中心
現在の進路指導において、生徒の学習データや行動データを「活用できている」と回答した教員は82.9%に達した。校務支援システムを活用した指導体制についても、76.1%が「整っている」と回答しており、ハードウェアとしてのデジタル環境は一定の普及を見せている。
しかし、活用されているデータの多くは「生徒の進路希望(62.9%)」「学習成績(定期試験・校内模試)(58.1%)」「出席状況や生活記録(52.2%)」といった基礎的な定量データが中心である。校務支援システムで利用している機能も「成績管理機能(56.3%)」や「通知表や指導要録の作成(55.8%)」が上位を占めており、現時点では事務作業の効率化という側面が強く、戦略的な分析に基づく指導への活用は限定的であることが推測される。
指導の質を阻む最大の要因は「リソース不足」
より質の高い進路指導を実現するために不足している要素として、47.6%の教員が「生徒一人ひとりに向き合う時間の確保」を挙げた。次いで「データ分析に基づく個別指導ノウハウ(35.4%)」「最新の進路情報の収集・提供体制(33.6%)」が続く。
データ活用を進める上での障壁についても、「データ活用に時間を割くリソース(人員・時間)がない(37.6%)」が最多となった。教員は多忙な日常業務の中で、生徒のデータを深く分析し、それを面談などの対話に還元するための物理的な時間が不足している実態が浮き彫りになっている。
システムに求められる「一元管理」と「分析支援」
現場の教員が校務支援システムに期待する具体的な機能としては、「生徒の学習履歴・成績データの一元管理(37.7%)」や「過去の進路実績データとの比較分析(35.1%)」が上位に挙がった。点在する情報を集約する手間を省き、過去の傾向に基づいた客観的な判断材料を迅速に得たいというニーズが非常に高い。
調査では、約8割の教員が「システムによるデータ収集・分析が進路指導の質を改善する」と考えており、さらに「個別最適化された指導は学校の魅力向上に貢献する」と回答した割合も78.6%に上った。デジタルツールの高度化は、単なる業務負担の軽減にとどまらず、学校の生き残りをかけた差別化要因としても期待されている。
本調査は「教員が感じる進路指導の課題とデジタル活用の可能性」をテーマとして、システックITソリューション株式会社が実施した。調査期間は2026年2月4日(水)から2026年2月6日(金)までで、PRIZMAによるインターネット調査として行われた。調査対象は調査回答時に中学校・高等学校で進路指導を担当している教員で、調査人数は1,005人。