MORIUMIUSの新たな挑戦 自然と共生し循環する暮らしを体験

宮城県石巻市雄勝町に複合体験施設「MORIUMIUS(モリウミアス)」が誕生して9年目を迎えた。設立以来1万5,000人以上が訪れ、豊かな学びの機会を提供してきた。代表としてフィールドディレクターを務める油井元太郎氏に、これまでの手応えや町への思い、今後のビジョンを聞いた。

始まりは被災地の炊き出し
築93年の廃校を5,000人で改修

油井 元太郎

油井 元太郎

公益社団法人MORIUMIUS 理事/フィールドディレクター
1975年生まれ。アメリカで大学を卒業後、ニューヨークにて音楽やテレビの仕事を経て、2004年に帰国。9月に創業メンバーとしてキッザニアを日本に導入する会社を設立。2006・09年に東京と甲子園に施設をオープン、年間約80万人に体験を通じた学びの機会をつくる。2013年より宮城県石巻市雄勝町に残る築94年の廃校を再生するプロジェクトに着手し、自然の循環や土地の文化、多様性を体感する学び場「MORIUMIUS」として2015年にオープンさせる。豊かな森と海から明日を生み出すために、こどもの教育を通じた町や自然の新生を目指す。2015年日経ビジネスが選ぶ次代を創る100人に選出。

──モリウミアス設立の経緯を改めてお聞かせください。

元々のきっかけは2011年の東日本大震災です。当時私は東京でキッザニアというテーマパークの仕事をしていたのですが、仙台出身の友人がいたことから、被災地のために何かしようと、毎週末のように仲間と各地の避難所を回って炊き出しをするようになりました。そのなかで雄勝中学校の校長先生とのご縁が生まれ、石巻市内の高校の校舎を間借りして授業を再開する際、給食をつくってほしいと依頼されました。私たちとしても、週末の炊き出し以外にするべきことがあるのではとの思いがあり、そのお話に乗ることにしたのが始まりです。

やがて、給食だけでなく、子どもたちの勉強をサポートする塾のような活動もすることになり、2011年5月に現在の公益社団法人MORIU MIUSの前身となる法人を立ち上げました。代表理事に就いたのが、仙台出身の友人である立花貴です。はじめは、あくまで勉強面のサポートでしたが、やがて週末を使って、…

(※全文:3520文字 画像:あり)

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