学び続ける時代の個人・組織に必要なマインド 重要なのは学歴よりも学習歴

デジタル化やグローバル化が加速するいま、予測不能な時代に対応する「学び直し」のニーズが高まっている。だが、社会人が日常業務を続けながら取り組むには、時間的・金銭的制約も多い。個人と組織はどのように対応すべきか、成人教育の観点から考える。

世界的に収れんする
「学び直し」の方向性

岩崎 久美子

岩崎 久美子

放送大学 教養学部 教授
2013年筑波大学大学院図書館情報メディア研究科修了。国立教育政策研究所 生涯学習政策研究部 総括研究官を経て現職。研究分野は成人教育学、教育社会学、生涯学習。

『学び直し(リスキリング)』という言葉を近年目にすることが多くなった。1980~90年代の成人教育が、一人ひとりの人生を豊かにする『生涯学習』としての教養・文化的側面を強く印象づけるものだったのとは対照的に、この言葉は、マンパワー政策に基づく学習をクローズアップするものである。

「大人になってからの学習は個人の自発性に委ねられるものであり、個人の領域に政策介入することは難しいという考え方がありました。ところが、EUが1996年に『生涯学習年』を掲げたあたりから、雇用・経済対策として成人に対する学習環境整備に向けた政策的な流れが生じてきました。ヨーロッパの多くの国々では、高い若年失業率を背景に、労働力の質の向上を目的として『生涯学習』という言葉を政策的に使い始めたのです」と語るのは、放送大学教養学部の岩崎久美子教授だ。

(※全文:2307文字 画像:あり)

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