【6月2日文科相会見詳報】平和教育への委縮懸念に「新ガイドライン不要」 沖縄訪問の継続と主務教諭普及も訴え

松本洋平文部科学大臣の記者会見(2026年6月2日開催)において、都内高校の視察報告、教育の政治的中立性に関するガイドライン、主務教諭の配置状況、および沖縄での平和学習のあり方について見解が示された。

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都内高校の視察報告

松本大臣は、令和8年6月1日に東京都立立川緑高等学校、NHK学園高等学校、東京都立国立高等学校の3校を視察したことを報告した。

令和7年4月に開校した多摩地区初のチャレンジスクールである立川緑高等学校では、三部制(午前部・午後部・夜間部)・単位制の定時制課程を採る同校において、生徒が自身のライフスタイルや学習ペースに合わせて時間割を自主的に決定し、真摯に学ぶ姿に深い感銘を受けたと述べた。

日本初(世界初)の広域通信制高校として1962年に創立されたNHK学園高等学校では、メディアを有効活用した柔軟な学習体制が整備されている状況を確認したほか、スクーリングや部活動などの対面による学びや学校生活を大切に捉えている生徒の生の声に触れ、対面指導の重要性を再認識したと語った。

全日制普通科の東京都立国立高等学校では、生徒の自主性を重視した授業展開や放課後の自主学習支援の取り組みを視察し、生徒が自身の学びと真剣に向き合う姿勢が印象的であったと振り返った。

視察した学校のなかには、中学校時代に不登校を経験した生徒が多く在籍する学校もあったが、在学生が夢や希望に向けて懸命に励む様子から、国としてこうした生徒を強力に支援していく必要性を痛感したと表明した。あわせて、生徒に寄り添った指導を行う教職員や関係者の尽力に敬意を表し、今回の視察で得た知見を今後の政策検討へ確実に反映させる意向を示した。

教育の政治的中立性と平和教育に関する見解

学校現場での平和教育に関して、特定の民間団体から「教員が委縮している」との報告がなされ、国による教育の政治的中立性に関する新ガイドライン策定を求める声が上がっていることについて、松本大臣は現時点で新たなガイドラインを策定する考えがないことを示した。

文部科学省は、教育基本法や学習指導要領に基づき、特定の考え方に偏った取り扱いによって生徒の主体的な判断を妨げないよう、これまでも通知等で留意点を丁寧に示し、教員向け資料の提供を行ってきたと説明した。各学校現場では、関係法令や通知を踏まえた創意工夫により、多様な見解を提示して政治的中立性を確保しながら平和学習に取り組んでいるという認識を示した。

一方で、同志社国際高等学校が政治的活動を行う抗議船として日常的に使用される船に生徒を乗船させた事案については、極めて異例の事態であると指摘した。多様な見方や考え方を提示して適切に平和学習を行っている通常の教育現場においては、全く心配する必要はないと強調し、今後も教育基本法や関係通知の趣旨について周知を徹底していく方針を述べた。

また、教育基本法第14条第2項が定める政治的活動について、特定の政党に関わらない場合も同条項の対象となるとした文部科学省の判断に対し、一部の有識者から拡大解釈であるとの指摘が出ている点については、国の判断は適切であったとの見解を示した。

沖縄における平和学習と主権者教育の継続

前述の事案を受け、沖縄県内の平和学習受け入れ団体に対し、修学旅行の見学先や学習内容の変更を求める動きが生じていることについて、松本大臣は沖縄への訪問自体を避ける必要はないと言及した。

学習指導要領解説においても、沖縄における戦争の惨禍について指導することが明記されており、平和学習の実施自体は極めて重要であり、むしろ推進すべき内容であると主張した。その上で、安全確保の面や教育内容に関して文部科学省が発信している見解を参考にしつつ、学校現場において多様な視点をバランスよく提示する適切な判断を求めた。

主務教諭の新規配置状況と促進方針

令和8年4月から導入可能となった新職制「主務教諭」について、毎日新聞の調査で指定都市における配置が進んでいない現状が指摘されたことに対し、導入の背景と今後の見通しを説明した。

主務教諭は、近年の学校現場において組織的対応が必要な横断的課題が多様化している事態を受け、教諭その他の職員間における総合的な調整を行う職として、学校教育法の改正に基づき新設された。実際の配置にあたっては、地域や学校の実情を踏まえて各都道府県や政令指定都市が検討を行うため、関係条例の整備に一定の時間を要するものと分析した。

令和7年12月時点の調査では、23の自治体が職の創設を予定していると回答しており、導入に向けた準備を進める自治体は着実に存在すると述べた。文部科学省としては、組織的な学校運営体制の構築に向けて主務教諭の活用を各教育委員会で積極的に検討できるよう、引き続き制度の趣旨を丁寧に説明していく方針である。先行自治体の導入事例を他地域へ横展開することにより、学校現場の負担軽減と教育の質の向上を図る意向を示した。