博士課程修了後の収入は研究分野による違いが顕著「博士人材追跡調査」

文部科学省の科学技術・学術政策研究所は5月29日、「博士人材追跡調査(第5次報告書)」を公表した。

経済成長の原動力となる研究力、イノベーション創出力の中核となる研究開発を先導する博士人材の養成は、先進国における特に重要な課題の一つとなっている。一方で、研究力の担い手である「人材」は、若手研究者の安定的なポストの不足やキャリアパスの多様性の欠如など、若手研究者を取り巻く環境は厳しく、これが博士課程への進学率の低下や研究者の魅力の低下の一つの要因となっている。

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こうした状況を背景に科学技術・学術政策研究所では、大学院博士課程修了後の就業や研究状況等を把握することを目的に「博士人材追跡調査」を継続的に実施。今回は2021年度博士課程修了者の修了1.5年後の調査を実施している。

博士課程就学前および在籍中の調査項目に関して、在籍前に社会人経験があると回答した者の割合は、2018年コホート1.5年後の53.7%から上昇し58.4%と6割近くに達し、在職のまま博士課程に入学する学生の割合も増加した。また、在籍中学費免除がなかったと回答した者の割合は全体で54.7%と過半数を占めた。在籍中に学費が全額免除になった者の割合は、全体では16.0%だった。

また、在学中のインターンシップ経験があると回答した者の割合は11.3%と1割程度にとどまった。また、この割合は2012コホート1.5年後時点(10.9%)からほぼ変化がみられなかった。在籍中の主な資金源は、両親、自分を含む自己資金が約6割を占め、返済義務のないフェローシップ・奨学金によるものは約4分の1だった。

博士課程修了時および修了後の調査項目に関して、修了時の借入金は全体で76.3%が50万円以下であった一方、300万円以上と回答した者も15.4%存在し、特に課程学生において借入金割合が高いことがわかった。

修了時点での博士号取得状況は全体では 78.7%と約 8 割だった。修了1.5年後の博士号取得状況は全体で89.3%と9割近かった一方、人文・社会分野では7割程度にとどまった。また、博士号取得者の雇用先は、10年前と比較して理学、工学分野において産業界への就職割合が高まった。

産業界に就職した博士課程修了者のうち、理学、工学系は正社員、正職員としての雇用割合が9割を超えた一方、産業界に雇用された人文科学系修了者の正社員、正職員比率は6割以下に留まった。また、博士課程修了後1.5年後の収入は、400-500万円の割合がもっとも高かった。研究分野別では、もっとも収入が高いのは保健分野となっており、3割以上が1,000万円以上となっている一方で人文科学、社会学、農学分野では収入100万円以下が1割程度存在しており、収入分布は研究分野による違いが顕著となった。

調査の詳細は下記から確認できる。
https://www.nistep.go.jp/archives/62942/