効率化の裏で「あえて効率を求めない時間」の価値が上昇 「タイパ」と「メンパ」の二刀流時代へ
セイコーグループ株式会社は、6月10日の「時の記念日」に向けて生活者の時間に対する意識や実態を探る「セイコー時間白書2026」を公開した。2017年から開始された本調査は今回で10回目を迎え、現代人の時間との付き合い方の変化が浮き彫りとなっている。
今回の調査結果によると、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する考え方が社会に定着する一方で、精神的な満足度を重視する「メンタルパフォーマンス(メンパ)」への関心が高まっている。効率を求める時間と、あえて効率を求めず心の充足や納得感を大切にする時間を使い分ける「二刀流」の傾向が顕著に見られた。
効率化が定着しAI利用が進む背景
調査では、65.8%の人が「タイパ重視の考え方は社会に定着した」と捉えており、日常的な行動でも61.0%がタイパを意識している。また、51.9%と半数以上の人がプライベートでAIを活用していることが分かった。AIの利用機能としては、仕事の相談だけでなく、人生相談や愚痴の傾聴といった精神的なサポートを求める声も挙がっている。
「自分軸」で時間を使い分けるメンパの重要性
効率化が進む一方で、74.3%の人が「何もしない時間は必要」と回答した。効率化したい時間とあえて効率を求めたくない時間を「使い分けている」と答えた人は63.6%にのぼり、自分自身の心地よさを基準にする選択が広がっている。
セイコーグループ株式会社公式プレスリリースより
具体的に短縮したい時間のトップ3には「テーマパークの行列(48.1%)」「人気の飲食店の行列(44.9%)」「SNSやネットの閲覧(43.0%)」が並んだ。これに対して、長くてもかまわない時間としては「一人で過ごす静かな時間(57.2%)」「誰かと食事をする時間(46.5%)」「自分へのご褒美を選ぶ時間(41.7%)」が挙げられており、心の豊かさにつながる時間を大切にする姿勢がうかがえる。
時間感覚の多様化と共通認識
他人との時間感覚の違いについても調査が行われた。「少し早め」という言葉に対して「10分前」と考える人が52.6%と過半数を占めたが、「5分前」や「20分以上前」と捉える人もそれぞれ約1割存在した。また、88.7%の人が「他人と時間感覚が合わない経験がある」と回答しており、80.8%が「時間感覚が違うのは当然」と受け止めている。時間感覚は人によって異なり、すべてを他者と同調させる必要はないという共通認識が定着しつつある。
10年間の定点観測から見える変化
時間白書の開始から10回目を迎えた今回、「時間に追われている(63.4%)」や「時間が足りない(56.7%)」という感覚自体は過去の調査からほぼ横ばいで推移している。しかし、「1分でもムダにしたくない(37.7%)」「やることがない時間が出来るとつい不安になってしまう(33.2%)」という焦燥感と、「何もしない時間を大切にしたい(56.1%)」という願いがいずれも定点観測で過去最大を記録した。
生活者が感じる1時間の価値については、オンタイムが4,836円、オフタイムが11,305円という結果になった。10年前と比較すると双方とも値上がりしているものの、ここ数年の傾向としてはオンタイムが横ばい、オフタイムが減少傾向を見せている。なお、1週間の中で最も大切にしたい時間帯のトップは「金曜日の午後10時」であり、次いで「土曜日の午後9時」「土曜日の午後10時」と週末の夜に人気が集中した。