副業で人は育つのか 副業による学習効果は社内起業を促進する

近年、副業は社内起業を担う人材育成の手段の一つとしても注目されている。副業の学習効果に関する実証研究に取り組む東洋大学・川上淳之教授に、副業によるスキル獲得の可能性や、副業の学習効果を高めるために、個人・企業に求められる取組みについて話を聞いた。

副業を通して自己効力感が向上、
社内起業を促進する要因に

川上 淳之

川上 淳之

東洋大学 経済学部経済学科 教授
学習院大学経済学部卒業。同大学研究科博士後期課程単位所得退学。博士(経済学)。経済産業研究所リサーチアシスタント、労働政策研究・研修機構臨時研究協力員、内閣府経済社会研究所研究協力者、学習院大学学長付国際研究交流オフィス准教授、帝京大学経済学部准教授、東洋大学経済学部准教授を経て現職。主な著作に『副業の研究ーー多様性がもたらす影響と可能性』(慶應義塾大学出版会・第44回労働関係図書優秀賞受賞)、『30代の働く地図』(玄田有史編、岩波書店)、“Multiple job holdings as a strategy for skills development,”(Japan and the World Economy 49, 2019年)。労働経済学専攻。

── 川上先生は副業や社内起業について研究されています。副業を通じて得られる経験や効果について、どのように見ていますか。

政府が2017年以降、推し進めている「働き方改革」において副業の推進が打ち出され、その理由として「副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である」と示されています。また、経団連による「副業・兼業の促進」において、「本業以外の仕事を通じてスキルアップを図りたいといった働き手の多様なニーズに応えること」が従業員のワークエンゲージメントを高めるとしています。

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