音声で顧客対応するボイスエージェント 本人確認や契約変更も neoAI

東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ、株式会社neoAI(東京都港区)は2026年10月20日、音声で顧客対応するボイスエージェントの正式提供を開始したと発表した。コールセンターでオペレーターが担ってきた本人確認や契約変更などの手続きを、AIが完了させる。通話後の記録や議事録作成といった後処理に加え、VoC分析までをAIが担う。

株式会社neoAIプレスリリースより。(画像はクリックすると拡大します)

顧客対応のデジタル化は、シナリオ型ボットやIVRの普及とともに進んできた。一方で、有人での顧客対応件数は2010年以降、年率2%で増加している(McKinsey, 2025)。従来の技術では、複雑な対応を柔軟かつ正確に、現実的なコストで自動化することが難しく、本人確認や契約変更など人の対応に頼る業務が残っていた。

neoAIによると、この1年の技術進化で、こうした複雑な対応もAIエージェントが担えるようになった。同社がOpenAIの公表資料をもとに示したところでは、生成AIの実務能力を測るベンチマークで、専門家と同等以上と評価される出力の割合は38.8%から84.9%に上昇している。進化したエージェントに、自然な発話が可能になった音声モデルを組み合わせれば、電話の中でも同じ水準の対応ができるという。コスト面でも同等の精度をより安く実現できるようになり、性能とコストの条件が整った今、AIエージェントを業務に組み込めるかどうかが顧客対応の効率化の鍵になっていると同社はみる。

同社のボイスエージェントは、単に自然に話す音声AIではない。社内システムと連携し、業務を実行するAIエージェントである。同社の顧客対応AIエージェントは、顧客との接点としてチャットに加え、新たに電話(音声)に対応した。neoAIは独自のAIプラットフォーム「neoAI Chat」「neoAI Work」を展開し、250社以上への導入を通じて業務設計やシステム連携、精度改善のノウハウを培ってきた。今回、両プラットフォームの基盤に音声を加え、顧客対応領域での社会実装を本格化させる。

サービスの特長は二つある。一つは、一次対応から後処理までをAIが完遂するプラットフォームだ。AIは対話を通じて本人確認・認証や資料・FAQ検索、顧客・契約情報の照会や更新を行い、文字起こしや議事録作成、メール・SMSでの通知、担当者との連携までを担う。不適切な応答や権限外の操作を検知・制御する機能も備え、人に引き継ぐのは必要な場面だけに限る。もう一つは、FDE(Forward Deployed Engineer)が検証から改善までを一貫して担当する体制である。FDEは業務設計から社内システムとの連携までを手がけて顧客向けに公開できる精度へ仕上げ、導入後も精度の向上を続ける。サービス全体としては、アラート検知から改善、VoC分析へとつなぐ循環によって対応品質と運用コストを継続的に改善し、集積された対応履歴をもとに営業や製品開発へフィードバックできる仕組みも構築できる。

同社が導入先として想定するのは、顧客対応をAIで変えたいが何から始めればよいか分からない企業や、AIの誤回答を防いで対応品質を保ちながら委託費や人件費を下げたい企業だ。繁忙期や夜間・休日に電話がつながらない、IVRやFAQボットを導入しても電話が減らずシナリオの更新にも手間がかかる、といった悩みを抱える企業も対象とする。本人確認や契約の照会・変更を結局オペレーターが対応している、通話後の記録・引継ぎに追われて応対ログの分析や改善まで手が回らない、暴言や過度な要求への対応がオペレーターの負担になっている、といった課題を持つ企業も念頭に置く。コールセンターの有無や規模を問わず、業務に合わせて導入できるとしている。