「形」ではなく「価値」を追求せよ オンライン教育設計の7か条

新型コロナウイルス感染症の拡大下において、教育機関や教員はどのようにオンライン教育を設計すべきか。オンライン教育やインストラクショナルデザイン(ID)に精通する熊本大学教授システム学研究センター長の鈴木克明教授(日本教育工学会会長)に聞いた。

学習目標に立ち戻るべき

──新型コロナウイルス感染症の拡大と、教育機関におけるオンライン教育の広がりについて、どのように見ていますか。

鈴木克明

鈴木克明

熊本大学教授システム学研究センター長、
大学院教授システム学専攻長、教授
1959年生まれ。Ph.D.(教授システム学)。現在、ibstpi ® フェロー、日本教育工学会第8代会長、日本医療教授システム学会理事、日本イーラーニングコンソーシアム名誉会員などを務める。主著に『研修設計マニュアル』、『教材設計マニュアル』、『インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)』などがある。

強く言いたいのは「無理はしないでほしい」ということですね。

教育機関は、授業のすべてを未来永劫にわたってオンラインに移行することを目指してはいないはず。学習者も、オンライン授業を受けたくて入学したわけではないでしょう。双方にとって非常時の暫定的な試みなのです。平常通りの教育をやろうとはせず、「学びを止めない」ことが関の山だと考え、期待値を下げるべきです。

そもそも、真っ当なオンライン教育の提供には、莫大な手間や環境整備が必要になります。サーバーなど通信環境の整備はもちろん、学習者側のオリエンテーションもしっかりやらなければいけませんし、未経験者がすぐにできるものではありません。

この非常時には、対面授業と同じ形をオンラインで実現しようと考えないでほしい。大切なことは…

(※全文:2496文字 画像:あり)

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