遠隔プログラミング 授業の可能性と展望[AD]

リモートプログラミング授業は、教育現場にどのような価値を生み出すか。仙台白百合学園小学校での授業に講師として参加したアントレキッズの太田可奈氏に聞いた。

アントレキッズは2015年に創業し、小中学生向けプログラミングスクールを東京都渋谷区と世田谷区で運営している。

「弊社代表の西田祥は7児の父であり、約20年間小学校教育の変化を見続けてきました。『これからの時代、IT に使われるのではなく、使いこなせる子どもたちを育てたい』という強い思いを持っており、一方で教育現場の先生方が多忙で疲弊し、ICT 利活用が十分に進まない状況に危機感を覚えたため、ならば自分たちでとスクールを創業しました」と太田可奈氏。

アントレキッズは東京都内で小中学生向けプログラミングスクールを運営

アントレキッズは東京都内で小中学生向けプログラミングスクールを運営

スクールでは児童生徒のレベルに合わせて多数のカリキュラムを用意し、また、最新の教科書や学習指導要領に合わせてカリキュラムを常にアップデートしている。今回のコロナ禍への対応では、無償で IT やプログラミングのオンライン授業を開講し、休学中の一般の子どもたちに開放した。

現場教員との連携が重要に 課題はカリキュラム開発

同社にとって、一斉に多人数を対象とするリモートプログラミング授業は初めての試みだった。仙台白百合学園小学校の児童たちの反応について、太田氏は「驚くほど集中力が高かったです」と振り返る。

「オンラインの良さとして気づいたのが、画面から児童一人ひとりの表情が常に分かること。上手く進められているか、悩んでいるのかといった様子を細かく知ることで、授業の組み立てや進め方をその場で工夫することができます」

一方、児童それぞれを手取り足取り指導することは対面授業に比べて難しく、「現場にいる先生方との連携が非常に重要になります」と太田氏は指摘する。「先生方と授業内容や進め方を共有しておかなければ、現場で児童のフォローはできません。ですから、事前レクチャーがとても大切だと感じました」

事前レクチャーは、教員の ICT 教育スキルの底上げにも繋がり、将来的に学校でのプログラミング授業の自走に繋がるだろう。ただ、太田氏は「プログラミング授業のカリキュラムを、先生方が自前で用意するのは簡単ではありません」と懸念する。

「授業で使用するツールのバージョンアップなどを日々キャッチアップしてカリキュラムを作ることは、多数の教科を持つ小学校の先生には大変な作業です。弊社としては今後、学校現場に即したカリキュラムの開発・提案も行っていきたいと考えています」

また、今回のリモート遠隔授業は児童が各自で Scratch の使い方を覚える内容だったが、今後は、チームで1つの成果物を作成するといった協働学習を実施していきたいという。「Zoom のブレイクアウトルーム機能を使えばチームごとの作業も可能です。複数の学校をリモートで繋げ、地域を越えた児童たちのチームを作ることもできるはず」と太田氏は期待する。

プログラミング推進にあたり、端末に日常的に触れるようになることが重要であるとともに、太田氏はポイントとして「保護者を巻き込むこと」を挙げる。「保護者への体験授業などを通じて、プログラミングを学ぶ意味やセキュリティ対策の重要性について理解を広げることが大切ではないでしょうか」