メンタルヘルス対策 教職員と行政の間に構造的ギャップ
教育現場における教職員のメンタルヘルス問題が社会的な関心を集める中、各自治体や教育委員会はストレスチェックの実施や相談窓口の設置といった様々な対策を講じてきた。しかし、株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントの連結子会社である株式会社Mediplatが実施した「教職員のメンタルヘルスに関する比較調査」により、行政側の施策が現場の教職員に十分に届いておらず、有効性の実感に大きな開きがあるという実態が明らかになった。
この調査は2026年4月27日から5月7日にかけて、教職員100名および行政の教職員メンタルヘルス施策担当者103名を対象にインターネット上で実施された。
調査結果によると、教職員の62.0%が過去1年以内に強いストレスや不安、抑うつといったメンタルの不調を経験しており、その中の22.0%は業務に支障が出るレベルであると回答した。教職員のメンタルヘルス問題が深刻であると回答した割合は、教職員側の65.0%に対して行政担当者側は75.8%に達しており、行政側も課題の深刻さを強く認識している状況がうかがえる。
しかし、実施されているメンタルヘルス対策が役立っているかという問いに対しては、両者の認識に大きな乖離が見られた。行政側は「非常にそう思う」と「ややそう思う」を合わせて61.2%が有効性を実感しているのに対し、教職員側で同様に回答した割合は36.0%にとどまり、25.2ポイントもの差が生じている。また、教職員が悩みを相談しやすい環境が整っているかという設問でも、行政側の肯定的な回答が49.5%(非常にそう思う23.3%、ややそう思う26.2%)であったのに対し、教職員側は32.0%(非常にそう思う7.0%、ややそう思う25.0%)となり、17.5ポイントの開きがあった。
職場での相談をためらう要因としては、教職員側と行政側の双方が「相談しても解決につながらないと思うこと」を最多に挙げ、その割合はほぼ同水準となった。さらに、最も優先すべき対策として双方が「教職員がSOSを出しやすい環境づくり」を第一に選んでいる。
株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントのマーケティング部部長であり株式会社Mediplatの役職を兼務する遅沢修平氏は、この結果について、課題の本質は相談窓口の有無だけでなく、相談後に具体的な支援や改善へつながるという実効性への不安にあると分析する。教職員の休職や離職にメンタルヘルスが影響しているという認識は教職員側が71.0%、行政側が69.0%と一致しており、対策の必要性は双方が共有している。
また、遅沢氏は今後は行政や教育委員会、学校現場が施策を整備したという事実にとどまらず、教職員が実際にSOSを出しやすく、相談後に専門的支援へつながる状態になっているかを基準にして支援体制を見直す必要があると指摘した。