IQや学力では測れない力をどう育てるか Z会の非認知能力アセスメント SELF+eZ(セルフィーゼット)が示す答え

株式会社増進会ホールディングスのグループ会社である株式会社Z会は、主に自治体を対象とした小学5年生から高校3年生向けの非認知能力アセスメント「Z会非認知能力アセスメント SELF+eZ(セルフィーゼット)」を2026年2月にリリースし、提供を行っている。本アセスメントは、RAD Science SolutionsのCEO兼共同設立者であるリチャード・D・ロバーツ博士の全面協力のもと、監修者である星槎大学大学院教育学研究科の北川達夫客員教授とともに開発された教育ツールである。

開発の背景と非認知能力の重要性

株式会社Z会は1931年の創業以来、思考力を養う良問や教育サービスを提供してきた。昨今、教育現場においてIQや教科学力とは異なる非認知能力の必要性が注目されている。非認知能力とは、テストによって数値化することが困難な目標達成への意欲、やり抜く力、自制心、協調性、共感性などの資質や能力を指す。

経済協力開発機構(OECD)ではこれらを社会情動的スキルと定義しており、目標の達成や他者との協働、感情のコントロールに関するものとして、個人のウェルビーイングや社会・経済的成果にも影響を与える、測定可能かつ育成可能な個人の特性と位置づけている。株式会社Z会は、OECDの教育測定プロジェクトにおいて開発経験を有するリチャード・D・ロバーツ博士を開発パートナーに迎え、理論的根拠と世界的な実績に基づいたアセスメントを完成させた。

SELF+eZ(セルフィーゼット)の概要と3つの特長

本アセスメントの対象学年は小学5年生から高校3年生であり、児童生徒が保有する学習端末を用いて実施できるCBT(Computer Based Testing)形式を採用している。これにより、探究学習などの観点別評価における客観的評価ツールとしての活用が可能である。なお、学校現場の状況に応じてPBT(Paper Based Testing)形式での受検にも対応する。

測定指標は、人の性格を5つの因子で構成すると定義するビッグファイブ理論をベースに設計された。この理論はOECDの社会情動的スキルに関する調査でも採用されており、世界的にも汎用性が高い。具体的な指標として、オープン性や創造性を測る創造と革新の能力、誠実さや調整力を測る自己管理の能力、外向性や主体的な関わりを測るコミュニケーションと社会参画の能力、プレッシャーを受け流す感情回復の能力、協調性を測るチームワークと協働の能力の5項目に分類されている。

アセスメント結果は成績として扱うのではなく、児童生徒の個性として尊重される方針である。返却される個人フィードバックレポートには偏差値などの数値的な概念を設けず、児童生徒が自身の強みや弱みに気づき、行動指針を意識できるように5つの項目ごとに行動アドバイスを記載して返却する。

さらに、自己申告による回答バイアスを排除するため、工夫された3種類の異なる質問形式を組み合わせて測定精度を向上させている。分析にはIRT(項目反応理論)を導入しており、同一年度内での複数回実施や毎年の経年比較において、統一尺度での数値化による比較が可能である。これにより、教育施策の効果測定や、児童生徒の成長変化を正確なデータとして学校や自治体が利活用できる。

共同開発者であるリチャード・D・ロバーツ博士は、勤勉さやチームワーク、ストレス耐性といった非認知能力が学校の成績や仕事のパフォーマンス、幸福度に強く関係していることを指摘している。元々は英語圏向けに開発されたアセスメントであるが、日本語に翻訳されたことで教室・学校・地区内の傾向把握や各生徒の個人的・学術的な成長支援に役立つことへの期待を寄せている。

監修者である北川達夫客員教授は、本アセスメントを自身の現在地を知り未来を目指すための心の地図と表現する。自分の強みを伸ばし弱みに挑戦するための具体的なアドバイスが得られるため、教員や保護者が子どもの将来を子どもとともに考えるための有益な資料になると述べた。