うまくいかないからこそ探究は続く 教育者が教えるべきは学びの「醍醐味」

時代の変革期にあって、学校教育や社会人の学びのあり方が問い直されている。不確実な社会を生きるために必要な学びの姿とはどのようなものか、30年以上にわたりレアメタル研究を続ける傍ら、STEAM教育にも取り組む、東京大学生産技術研究所 所長の岡部 徹 教授に聞いた。

レアメタル研究を通じて
学外でSTEAM教育を実施

岡部 徹

岡部 徹

東京大学生産技術研究所 所長、教授
1965年京都市生まれ。ロンドン日本人学校、筑波大学附属高等学校を経て、88年、京都大学工学部冶金学科卒業。同大学院博士課程へと進み、チタンなどのレアメタルの精錬に関する研究で93年に博士号を取得。その後、日本学術振興会海外特別研究員として渡米、マサチューセッツ工科大学の博士研究員として約3年間留学。東北大学素材工学研究所(現 多元物質科学研究所)助手を務めた後、2001年より東京大学生産技術研究所 助教授に着任、同研究所 准教授を経て、09年から教授に就任。19年から21年まで東京大学 副学長に就任。21年より現職。専門分野は材料化学、環境科学、循環資源工学、レアメタルプロセス工学。

── 岡部先生は、生産技術研究所で長年チタンをはじめとするレアメタルの研究に邁進される傍ら、最近では「STEAM人材育成研究会」でのリーダーを務めるなどSTEAM教育にも取り組んでいらっしゃいます。

岡部 じつは、STEAM教育という言葉を知ったのは比較的最近のことです。現総長の藤井 輝夫 先生から「岡部さん、STEAMって知ってる?」と聞かれたのがきっかけでした。

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