人口増に転じた「奇跡の島」海士町 グローカルな学びの現在地

全国から生徒を募る「島留学」やお試し移住制度「大人の留学」で注目が集まる隠岐諸島の海士町。東京から移住した大野佳祐氏は、全国初の学校経営補佐官として隠岐島前高校に携わるとともに、ふるさと納税を活かした地域活性化に奔走する。人づくりと地域づくりにかける思いを聞いた。

全国から集まる「留学生」
グローカルな学びが活性化

大野 佳祐

大野 佳祐

島根県立隠岐島前高等学校 学校経営補佐官
AMAホールディングス株式会社 代表取締役
一般財団法人島前ふるさと魅力化財団 理事
1979年東京生まれ。15歳のブラジルへのサッカー留学、19歳のバングラデシュへの旅を契機に海外での医療・教育支援活動をスタート。30歳でバングラデシュに学校設立。2014年に海士町に移住し、隠岐島前高校魅力化プロジェクトに参画。2019年に国内初となる島根県立隠岐島前高校の学校経営補佐官に就任。2020年には教育分野からまちづくり分野に越境し、AMAホールディングス株式会社の取締役を経て現職。自身でも再生可能エネルギー会社を起業するなど学校経営と地域経営の両面からまちづくりを探究中。

──これまでにどのような教育活動に取り組んできましたか。

私が海士町に移住したのは2014年のことです。隠岐島前高校では、全国から生徒を募る「島留学」が始まって4年ほど経ち、軌道に乗ってきており、次は何を目指そうかというタイミングでした。「グローカル人材の育成」を掲げる隠岐島前高校で私が取り組むことになったのがグローバル化の推進です。それまでも、生徒が地域とつながる「ローカル」の取り組みは進みつつあったのですが、「グローバル」の側面が弱かった。そこで文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」の指定を受けました。

例えば、全員が2年次に参加するシンガポール海外研修のプログラムをいっそう充実させたり、ブータン、ロシア、エストニアなどに毎年数名の学生を派遣するプログラムを新たにつくったりしました。また、他国からの受け入れも積極的に行い、…

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