「成長を作る」企業理念が生んだイノベーション シェアリングエコノミーで留学の新たな可能性を拓く

「自分のために働くことには限界がある。誰かのために働くことの重要性に気づいた」——留学事業を展開する株式会社リアブロードの神田慎氏はそう語る。同社は「1億総留学社会」から「Make The World Your Stage .」へとフィロソフィーを進化させ、時間・スペース・お金という留学の3つの制約をシェアリングエコノミーで解決する革新的なビジネスモデルを展開している。グローバル化が加速する中、同社は次世代を担う人材育成にどのような価値を提供していくのか。

「成長を作る」理念から生まれた

留学支援の新たなアプローチ

株式会社リアブロードは、留学における既存の制約を革新的なアプローチで解決する留学支援事業を展開する企業である。同社の神田慎社長は、「成長を作る」という企業理念のもと、従来の留学支援の枠組みを超えた価値創造に取り組んでいる。

同社が掲げるフィロソフィーは「Make The World Your Stage .」。このフィロソフィーには、世界を舞台に活躍する人材を育成したいという強い想いが込められている。

「以前は『1億総留学社会』というフィロソフィーを掲げていましたが、事業のグローバル展開とともに、より包括的で前向きな表現へと発展させました。世界を舞台に挑戦する人材を支援し、留学の可能性を最大限に広げたいという想いを表現しています」と神田氏は説明する。

この理念の根底には、神田氏自身の価値観の成熟がある。学生時代からリーダーシップを発揮し、チームの成長を支援してきた経験から、個人の成功を超えた社会への貢献の重要性を深く理解している。

「『成長を作る』という企業理念には、お客様、社員、そして社会全体の成長を支援したいという想いが込められています。留学サービスの提供を通じて、多様な人材の可能性を開花させ、それが持続的な価値創造につながると確信しています」と話す。

シェアリングエコノミーの活用で

留学の新たな価値を創出

同社の革新性は、留学における3つの制約——時間、スペース、お金——をシェアリングエコノミーの概念で解決するアプローチにある。従来のビジネスモデルを見直し、効率性と価値提供の両立を実現している。

「留学には構造的な制約が存在していました。これらの制約を解決するために、シェアリングエコノミーの考え方を導入し、リソースの最適化を図りました」と神田氏は語る。

同社は語学学校の稼働率向上という業界全体の課題に着目し、語学学校と留学希望者Win-Winの関係構築を可能とする「スマ留」を通じて新たな価値を創出している。また、オンライン完結型の留学予約サービス「warple」の提供により、効率性を高めながら、その成果を顧客価値の向上に還元している。

スマ留やwarpleなどの商品では、価格競争力に加えて独自性の高いプログラムを提供し、留学体験の質的向上を追求している。「私たちは、スマ留やwarpleを通して、留学の新しいスタイルを確立し、業界全体の発展に寄与したいと考えています。イノベーションを通じて、より多くの人々に留学の機会を提供することが使命です」と話す。

戦略的視点でグローバル市場を開拓

持続的成長への基盤構築

海外渡航が一切できず留学業界全体が大打撃を受けたコロナ渦において、多くの企業が語学コンテンツの開発など、新たな方向へと舵を切る中、同社は留学が再び叶う日に向けて万全の体制をつくるべく、ドバイ市場の開拓に踏み出した。この決断は、創業当初から掲げる「留学市場でのシェアNo.1獲得」という明確なビジョンに基づいている。

「市場の特性を深く理解し、自らの力で業界の発展に貢献できることに大きな魅力を感じています。変化する環境を成長の機会として捉え、他社との差別化を図ってまいりました」と神田氏は振り返る。

現在も海外展開を積極的に推進しており、将来的にはインバウンド事業への参入も視野に入れている。留学生を活用したガイドサービスの提供を通じて、留学を起点とした多角的なビジネス展開を構想している。


「グローバルな視点で事業を展開し、国際的な人材交流の促進に貢献したいと考えています」と話す神田慎代表取締役社長

心理的安全性を基盤とした

人材育成への深いコミット

同社の人材育成における特徴は、実践を重視し、若手社員の成長を積極的に支援する姿勢にある。多様性を尊重し、創造性を育む環境づくりに注力している。

「多様な意見やアイデアが活発に交わされる環境を構築し、心理的安全性の確保を最重要視しています。日々の朝礼、個別面談、社員総会など、あらゆる機会を通じて理念の共有と浸透を図っています」と取り組みについて話した。また、神田氏は社員に対し、豊富な実践機会の提供と挑戦を奨励している。「多様な経験を積み重ねることで、社員一人ひとりの可能性を最大限に引き出したいと考えています。グローバルで活躍できる人材の育成は、私たちの重要な責務です」と話した。

同社は将来的な上場を視野に入れ、優秀な人材の獲得と育成に戦略的に取り組んでいる。また、留学業界における社会的信頼の向上にも積極的に貢献している。

若年層支援の強化で

教育の未来価値を創造

今後の事業展開において、同社は若年層への留学支援をさらに強化していく方針である。親子留学や小中高生向けプログラムの拡充を通じて、早期からの国際的視野の育成に取り組む。

海外大学への進学支援や英語学習サポートなど、留学を軸とした包括的な教育サービスの展開も計画している。「教育機関との戦略的パートナーシップを深め、経済的な支援制度の充実を図ることで、より多くの若者に学習機会を提供したいと考えています。法人営業の強化のみならず、大学・高校との連携も積極的に推進してまいります」と将来のビジョンについて話した。

神田氏は、若い世代への価値提供を通じて、グローバル人材育成のエコシステム構築を目指している。

「留学市場でのリーダーシップを発揮しながら、業界全体の持続的発展に貢献することが私たちの使命です。日本の若者がより広い視野を持ち、世界を舞台に活躍できる環境を創造していきたいと考えています」と話す。

新たな教育価値の創造で

社会に貢献する未来構想

教育業界においては、従来の枠組みを超えた革新的なアプローチが求められている。同社の取り組みは、業界全体にとって建設的な刺激となり、より多くの若者が国際的に活躍できる基盤づくりに寄与している。

「教育の可能性を最大限に引き出し、一人ひとりの成長を支援することが、社会全体の発展につながると確信しています。私たちの事業を通じて、次世代を担う人材の育成に貢献していきたいと思います」。

神田氏にとって、人材の成長支援は単なる事業領域を超えた、人生における重要な使命だ。

「人の成長を支援し、新たな可能性を創出することが、私自身の深い充実感につながっています。この使命感こそが、持続的な事業発展の原動力であり、社会への貢献を実現する基盤だと考えています」と話した。

神田 慎(かんだ・まこと)

26歳から約5年間にわたり、現場責任者として複数のプロジェクトを推進。31歳で一念発起し世界一周の旅へ出発。その最初の訪問地となったオーストラリア・メルボルンで語学留学に触れ、「誰もが気軽に海外に挑戦できる仕組みをつくりたい」と強く感じたことをきっかけに、2014年に株式会社リアブロードを設立。 現在では、リーズナブルな留学サービス「スマ留(スマート留学)」を主軸に、短期・長期留学、ワーキングホリデー、語学研修など多様なプログラムを展開し、多くの若者の海外挑戦を後押ししている。