持続的な企業の成長に必要なパーパス・ムーブメントを起こす

「パーパス(存在理由)」に注目が集まり、パーパスを策定する企業も増えている。一方、その浸透に課題を抱える企業も少なくない。日本のコンサル業界におけるパーパス・ブランディングの先駆者であるエスエムオー代表取締役の齊藤三希子氏に、必要な考え方や施策など話を聞いた。

パーパスを策定する企業が増加
策定に重要な3要素とは?

齊藤 三希子

齊藤 三希子

エスエムオー株式会社 代表取締役
株式会社電通に入社後、電通総研への出向を経て、2005年に株式会社齊藤三希子事務所(後にエスエムオー株式会社に社名変更)を設立。「本物を未来に伝えていく。」をパーパスとして掲げ、企業価値を高めるパーパス・ブランディングを日本でいち早く取り入れる。慶應義塾大学経済学部卒業。2021年7月『PURPOSE BRANDING〜「何をやるか?」ではなく「なぜやるか?」から考える』、2024年9月『企業が成長し続けるための7つのステップ パーパスの浸透と実践』を出版。

図表 パーパス策定済の企業数

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── パーパスを策定する企業は実際に増えているのでしょうか。

日本は2020年頃から「パーパス」の考え方が広がり、その前年頃から企業理念にパーパスを策定する企業が増えてきました。当社は東証プライム上場企業を対象に、企業理念として「パーパス(もしくは英語でPurpose)」を掲げる企業を洗い出し、「PURPOSE STATEMENT LIST」を作成しています。調査の結果、パーパス策定済みの企業は2022年で91社、23年で164社、24年で236社と、かなりの勢いで増えています(図表)。

当社は10年以上前から「パーパス・ブランディング」に取り組んできました。「パーパス・ブランディング」とは、拠り所となるパーパスを見つけ、それを軸に判断をして、課題を解決していく、企業や組織の経営の根幹となるものです。パーパスは策定して終わりではなく、パーパスを基に判断・行動して、成長し続ける企業になることが目的なので、策定や浸透は、そのための手段であることの認識がまず重要です。

── 良いパーパスを策定した企業に共通の要素はあるのでしょうか。

パーパスの策定は①オーセンティックか、②インスパイアするものか、③シンプルか、と大きく3つの要素が重要です。①は「そのパーパスが、本物であり、真正であり、真実である」ことを意味します。企業内でいえば、社員がそのパーパスを本当に信じていなければ、行動に結びつきません。逆に言えば、パーパスがオーセンティックであれば、社員はそれを信頼して、日常の業務に取り入れていきます。②は「人々にエネルギーを与えることができるパーパス」を意味します。インスパイアするものだからこそ、意欲を生み出し、モチベーションに繋がるのです。

(※全文:2206文字 画像:あり)

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