大学基準協会、東京女子医大の直近の認証評価における「適合」判定を取り消し 元理事長の背任問題を受け
公益財団法人大学基準協会は6月19日、2021年度に認証評価を行い「適合」判定を出した東京女子医科大学について、元理事長の背任問題を受け調査を行った結果、判定を取り消し、「不適合」としたことを発表した。
同大学をめぐっては昨年4月、運営母体である学校法人東京女子医科大学の岩本絹子理事長(当時)が、資金の不正支出や利益相反行為に関わっているとの疑惑を受け、第三者委員会が設置。8月に発表された調査報告書は、一連の疑惑を事実と認定。岩本理事長は同月解任され、今年1月には背任容疑で逮捕、2月には同容疑で起訴されている。
一連の出来事を受け、2021年度の「適合」判定に疑いが生じたことから、大学基準協会は専門の調査組織を設置。大学基準のうち、特に「学生の受け入れ」、「教員・教員組織」、「大学運営」、「内部質保証」について、書面とヒアリングを通じ再検証を行った。
その結果、「学生の受け入れ」については、公正かつ適切な受け入れが行われていたとはいえないこと、「教員・教員組織」については、昇進・昇格の公正性や公平性が担保されていたとはいえないこと、「大学運営」については、重要事項の決定が規程に沿った手順で行われておらず、ガバナンスが十分に機能していなかったこと、「内部質保証」については、自己点検・評価が適切に実施されていなかったことが判明。
これを受け、大学基準協会は5月29日開催の理事会にて、「適合」判定を取り消し、「不適合」へと変更することを決定した。
同協会は髙橋裕子会長名義で声明を発表。東京女子医大に限らず大学一般に対して、学生の受け入れおよび教員人事の公正性・公平性、教学組織としての大学の独立性の担保に務めるよう求めている。