【10月6日関芳弘文部科学大臣会見要旨】東大総長選考、会議の説明責任を「注視」
関芳弘文部科学大臣は2026年10月6日の記者会見で、埼玉県戸田市の小学校でICTを活用した授業を視察したと報告した。京都市で開かれた第23回STSフォーラム年次総会への出席も明らかにしている。質疑では、東京大学の次期総長選考をめぐる説明責任や、例年より早く始まったインフルエンザの流行への対応について問われた。
就任後初の授業視察、1人1台端末の活用を確認
関大臣は10月2日、戸田市立戸田第二小学校を訪れた。大臣に就任してから、学校で授業を視察するのは今回が初めてだという。
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視察したのは、学級活動などでICTを活用した授業だ。いずれの授業でも、教員がデジタル教材などを効果的に取り入れ、1人1台端末が有効に活用されていた。関大臣は、子供たちが主体的に、活発に学ぶ姿がとても印象的だったと振り返った。
視察にあわせて、校長とも意見を交わした。話題に上ったのは、子供たちが大人になる未来を見据えて学校教育を改革していく重要性である。学びの質を高めるにはICTをどう活用するかが重要だとの意見があったほか、教育分野に特化したAIや、その活用を支えるセキュリティが必要だとの声も寄せられたという。関大臣は、今回の経験を今後の文部科学行政に生かしたいと述べた。
STSフォーラムで「科学への信頼」語る
もう1件の報告は、第23回科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)年次総会への出席に関するものだ。関大臣によると、年次総会には80を超える国・地域・国際機関から1,600人以上が参加していると聞いているという。
関大臣は4日の開会式に出席したほか、「なぜ科学を信じるのか」をテーマとするセッションに登壇した。スピーチでは先端科学の例としてAIを取り上げ、技術の進展とともに生じるリスクにも触れた。そのうえで、科学や科学者が信頼されるためには、幅広いステークホルダーとのコミュニケーション力を含めた「人間力」を高める必要があると訴えた。
会期中には、米国科学技術政策局(OSTP)の局長、タイの高等教育・科学・研究・イノベーション大臣、エジプトの高等教育・科学研究大臣とそれぞれ会談した。各国との科学技術協力の発展などについて意見を交わしたという。
京都大学では、立川康人総長と国際卓越研究大学としての取り組みなどについて意見交換した。あわせてiPS細胞研究所(CiRA)と高等研究院物質―細胞統合システム拠点(iCeMS)を視察し、世界最先端の研究内容や、研究成果をいかに社会実装につなげるかについても話し合っている。
関大臣は、各国の閣僚や世界をリードする研究者、有識者と意見を交わせたことは大変有意義だったと述べた。今回得た知見や信頼関係を基礎に、今後の関連政策に生かしていく考えだ。
東大総長選考「学内で説明求められている」
質疑の冒頭では、東京大学の次期総長選考が取り上げられた。次期総長予定者には藤垣裕子教授(大学院総合文化研究科)が選ばれたが、学内の意向投票の結果とのずれが指摘されている。記者によると、東京大学が選考理由を公表し、記者会見を開いた後も、選考理由や選考過程の説明が十分でないとの声が学内外から上がっているという。
記者はそのうえで、東京大学の説明をどう受け止めているか、追加の説明を求める予定はあるかを尋ねた。説明責任が果たされているかどうかが、大臣による任命に影響するのかもあわせて質問している。
関大臣は、9月29日に総長選考・監察会議が選考理由を説明したものの、メディアを含む学内外から、なお説明責任を果たすべきだとの意見が出ていると認識を示した。同会議が今回の選考に至った理由や過程を丁寧に説明していくことが重要だとし、その対応を引き続き注視すると述べた。
任命の仕組みについても説明があった。国立大学法人の学長は、法人の申し出に基づいて文部科学大臣が任命する。申し出に明白な形式的違法性がある場合や、明らかに不適切だと客観的に認められる場合などを除き、申し出に基づいて任命する決まりだという。関大臣は、任命を判断するより前に、同会議がなぜこのような判断をしたのかについて学内で説明が求められている状況だとの認識を示した。
質疑の終盤には、別の記者がこの点を改めて取り上げた。大学側から納得のいく説明がない段階では、任命の可否を判断する段階にもないという理解でよいかという趣旨だ。関大臣は、過去の学長選考の例では、国立大学法人から大臣への申し出は通常もう少し先の時期になると説明した。大学内では選考後の事務的な処理が進められているところだとの見方も示している。そのうえで、総長選考・監察会議が学内から上がる声にどう応え、説明責任を果たしていくのかを引き続き注視すると繰り返した。
インフルエンザ流行、対策と学びの保障両立
全国で広がるインフルエンザの流行についても質問が出た。記者は厚生労働省の資料をもとに、9月14日から20日までに休校や学年閉鎖、学級閉鎖を行った学校が1,060校に上ると指摘した。前年の同じ時期(9月15日から21日)は95校だったという。
関大臣は、今年は例年より早い流行入りとなっており、学校でも臨時休業などが生じていると述べた。文部科学省はこれまで、家庭と連携した児童生徒の健康状態の把握や、教室などの適切な換気、手洗いなどの指導に取り組むよう学校に周知してきた。9月30日付では厚生労働省、こども家庭庁と連名で、インフルエンザをはじめとする感染症への注意と感染症対策の徹底を求める事務連絡を出している。
各学校に対しては、基本的な感染症対策を引き続き講じるよう求めた。あわせて、出席停止や臨時休業の措置、ICT機器を活用したオンラインでの学習指導などを、地域の実情を踏まえて機動的に講じてほしいという。感染症対策と子供たちの学びの保障を両立させるための対応だ。文部科学省としても関係省庁と連携して流行状況を注視し、必要な対応を進めていくとした。
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