「わらび座」の使命は教育 演劇が秘める「心」を育てる力

民謡の宝庫と呼ばれる秋田県仙北市に拠点を置くわらび座。劇場を中心に、温泉や宿泊施設などが集まる「あきた芸術村」を運営し、年間25万人を動員する。19歳の入座以来わらび座一筋で、2016年から代表取締役社長を務める山川龍巳氏に、教育事業にかける思いを聞いた。

文化・芸術は教育そのもの
「不良」の心にも響くソーラン節

山川 龍巳

山川 龍巳

株式会社わらび座 代表取締役社長
1952年2月1日、長崎県波佐見町生まれ。1971年、わらび座に入座。全国公演営業部長、わらび劇場経営監督、たざわこ芸術村営業部長を歴任。2004年以降、愛媛県の地元企業との共同出資による「坊っちゃん劇場」の支配人として活躍。2014年3月、10年ぶりに秋田に戻り、わらび劇場支配人・本社営業統轄を経て、6月、取締役社長に就任。2016年6月より代表取締役社長。

わらび座は1951年に創立されて以来、民族伝統をベースに多彩な表現で現代の心を描き、現在5つの公演グループで年間約800回の公演を国内外で行っている。また、1971年には株式会社わらび座として法人化し、文化と観光を結合した本格的な複合文化エリア「あきた芸術村」を中心に、ホテルや温泉の運営や、地ビールの醸造・販売など、多角的な経営を行っている。

わらび座が注力する事業の1つが教育事業だ。「わらび座の仕事は心を育てること。その意味で、文化・芸術は教育そのものと言っても過言ではありません」。劇団として誕生したわらび座が教育事業に取り組む意義を問うと、山川社長は力強く断言した。

教育事業のなかでも、約40年と長い歴史を持つのが修学旅行の受け入れだ。コロナ禍前までは毎年150校1万5000人の子どもたちがあきた芸術村を訪れていた。観劇と踊りワークショップのほか、…

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