数々のイノベーションを輩出し、今後はサイバー安全保障人材の育成にも貢献

国内でも珍しい、情報通信系の研究団地として1997年に誕生した「横須賀リサーチパーク」。さまざまなイノベーションの舞台となってきた同パークは、人材育成にも力を入れている。運営主体である株式会社横須賀リサーチパーク代表取締役社長の鈴木茂樹氏に、沿革から取組み、展望まで聞いた。

無線技術とつながりの深い
横須賀に生まれた研究団地

鈴木 茂樹

鈴木 茂樹

株式会社横須賀リサーチパーク 代表取締役社長
1956年、神奈川県横須賀市生まれ。1981年、東京大学農学部農業経済学科を卒業、郵政省(現・総務省)に入省。情報通信国際戦略局長、総務審議官(郵政・通信)、総務事務次官などを経て、2021年、株式会社横須賀テレコムリサーチパーク(現・株式会社横須賀リサーチパーク)代表取締役社長に就任。現在に至る。株式会社野村総合研究所顧問、情報通信学会副会長、国立情報学研究所特任研究員。

──横須賀リサーチパーク(以下、YRP)について教えてください。

京浜急行の「YRP野比」駅からバスで10分ほどの横須賀市郊外の丘陵地に、1997年10月にオープンした研究団地です。東京ドーム約13個分の敷地に、情報通信系を中心とした企業やその研究開発部門、国や大学の研究機関が入居しています。2024年1月現在、71の企業・機関が入居し、約4,600人が働いています。

三方を小高い丘に囲まれた地形上、実験電波が外に漏れず、公共電波に混信や妨害を与えるおそれがないことから、国内でも珍しい、携帯電話を始めとする無線通信技術に特化した研究団地として誕生しました。この性格は、情報通信以外の産業分野の企業も入居するようになってきている近年、少し薄れてきていますが、それでも新しい通信技術の実験場という機能は健在です。

たとえば携帯電話であれば、最初はYRPの中だけで送受信して、…

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