【6月26日松本尚デジタル大臣会見】GPT-5.5-Cyberで政府のサイバー防衛多層化
2026年6月26日、松本尚デジタル大臣・サイバー安全保障担当大臣は閣議後の記者会見で4項目を発表した。OpenAIのフロンティアAIモデル「GPT-5.5-Cyber」の政府へのアクセス拡大、公金受取口座への登録呼びかけ、法人ベース・レジストリの登記事項検索・表示機能の提供開始、そして政府情報システム運用等経費の3割削減目標に関する2024年度(令和6年度)決算の進捗報告だ。
GPT-5.5-Cyberを迎え入れ、脆弱性チェック多層化
会見の冒頭、松本大臣はOpenAIが6月22日(米国時間)にサイバーセキュリティ防衛に特化したモデル「GPT-5.5-Cyber」のフルバージョンへのアクセス拡大を発表したこと、また日本政府を含む同盟国への提供が行われたことを「歓迎したい」と述べた。
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この動きは、2026年5月18日に国家サイバー統括室(NCO)が主導する形で始動した国家的AIサイバー防衛パッケージ「Project YATA-Shield」の推進と連動している。内閣官房国家安全保障局、国家サイバー統括室(NCO)、警察庁、金融庁、デジタル庁など14の省庁・機関が参加し、フロンティアAIによるサイバー脅威への国家規模の対応が本格化している。なお「YATA」は「Yielding Advanced Threat Awareness with AI(AIによる脅威の可視化)」の頭文字であり、三種の神器のひとつ「八咫鏡(やたのかがみ)」にもちなんだ命名だ。
松本大臣はGPT-5.5-Cyberをはじめとする複数のフロンティアAIモデルを政府の重要システムの脆弱性チェックに活用する方針を示したうえで、「1社のモデルだけに限定せず、多層的にチェックを重ねることが重要だ」と強調した。記者から「Anthropicが開発したClaude Mythos Previewとの比較や代替になりうるか」と問われると、「OpenAI側はMythos Previewと同等以上と言っているが、英国の安全・安心なAI研究所(AISI)など他国の評価も合わせて判断していく必要がある。どちらが上かという問題ではなく、多層的に取り組む方がより効果的だ」と語った。G7の場での各国連携については「外交上の問題として詳細な発言は差し控える」としつつ、NCOを中心にG7各国と緊密に意見交換を続けており、ファイブ・アイズ(Five Eyes)が出したAIのサイバーセキュリティ対策に関する共同声明の内容はProject YATA-Shieldのパッケージと一致していると述べた。
マイナンバーと口座の紐付け 半数が未登録
続いて松本大臣は、公金受取口座とマイナンバーの紐付け登録を国民に呼びかけた。2026年6月時点での登録口座数は日本の人口の約半分にあたる約6,400万口座にのぼるが、残る半分はまだ未登録のままだ。
会見では、6月24日に開催された「給付税額控除等に関する実務者会議」で示された中間取りまとめ案に、公金受取口座の積極的な活用方針が盛り込まれたことを受け、大臣は「どのような制度になるかは現時点では確定していないが、仮に特定の対象者に給付が行われる場合、事前に口座とマイナンバーを紐づけておけば、より迅速かつ確実に受け取れるようになる」と説明した。
口座残高などの財産情報が国に把握されるのではないかという懸念については、「登録した口座番号等の情報は給付金の支給を担う行政機関に提供されるのみで、残高などの詳細な財産情報が照会されることは一切ない」というのがデジタル庁の公式見解だ。松本大臣も「あらぬ誤解があるようだが、そのようなことは決してない」と改めて強調し、早期登録への協力を求めた。登録はマイナポータルからオンラインで行える。
法人登記をリアルタイムで照合、検索機能が利用可能に
3点目として、同日6月26日より法人ベース・レジストリの登記事項検索・表示機能の提供が開始されたことが発表された。法人ベース・レジストリは商業・法人登記を中心に約500万件の法人の登記情報を取り扱うデータベースで、2026年3月24日に運用を開始。本日から登記事項の検索・表示機能が利用可能となった。
この仕組みにより、行政機関は申請・届け出の場面でリアルタイムに登記情報をオンライン確認できるようになる。これまでは事業者が申請を行った後、行政担当者が法務局に登記事項証明書の発行を依頼し、郵送を待つかあるいは直接出向く「公用請求」が必要だったが、その手間がなくなる。具体的な活用場面として、登記事項証明書の添付省略、申請項目の自動入力、変更届出の省略、登記事項確認のオンライン化の4つが想定されており、手続きの経路が一本化されることで事業者と行政の双方の負担が大幅に軽減される見込みだ。デジタル庁は引き続き周知・利用促進に取り組む方針だ。
コスト削減率14%、目標3割達成へ残り1年で正念場
4点目は、政府情報システム運用等経費の3割削減目標に関する2024年度(令和6年度)決算の進捗報告だ。2020年度(令和2年度)をベースラインとして2025年度末(令和7年度末)までに3割削減を達成するという目標に対し、2024年度(令和6年度)決算時点での削減率は、物価高騰や人件費増額といった複合的な要因を除いた実質ベースで約14%にとどまった。削減額としては2024年度(令和6年度)に約110億円の減少となっている。一方、前年度となる2023年度(令和5年度)の削減率は約8%だったため、削減ペース自体は着実に改善している。
松本大臣は「削減率は伸びているとは言えるが、残り1年で目標の3割に到達できるかどうかは、正直なところ心配している部分もある」と率直に語った。今回の調査ではシステムの統廃合やデジタル庁が提供する共通機能の利用拡大が削減に貢献したことが確認されており、引き続き費用対効果の最大化を見据えながら2025年度末(令和7年度末)の決算に向けた精査を進めていくとした。