日本IBM、北九州に「AIエージェント・オペレーション・ハブ」新設
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM。代表取締役社長:山口明夫)は2026年6月23日、企業の間接業務におけるAI活用を加速し、業務変革と顧客との共創を推進するため、AIエージェントの導入・開発・運用から業務実行までを一体で支援する「AIファーストBPO」の提供拠点「AIエージェント・オペレーション・ハブ」をIBM九州DXセンター(福岡県北九州市)内に新設した。
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人手不足とAI期待が交差する、間接業務の転換点
企業の間接業務をめぐる環境は、構造的な転換点を迎えている。少子高齢化による労働力不足と業務の高度化を背景に、効率化と柔軟な対応力の強化が急務となっている。AIの普及により、業務プロセスの自動化や意思決定の高度化への期待も高まる一方で、間接業務領域では業務とテクノロジーの双方に精通した人材が不足しており、自社単独でのAI活用推進が難しい状況が続いている。投資対効果の見極めが難しいことから「取り組みたいが進められない」という課題を多くの企業が抱えているのが実情だ。
こうした課題に対する日本IBMの答えが、今回新設したAIエージェント・オペレーション・ハブである。同ハブは、AI開発・保守のエンジニアと業務オペレーターが協働し、AI活用を前提に企業の間接業務を再設計するAIファーストBPOのコンセプトに基づく提供拠点で、日本IBMのAI戦略の一つである「ビジネス変革のためのAI(AI for Business)」を具現化する取り組みの一環として設立された。従来のアプローチとの大きな違いは、企業がAI活用のために個別に追加投資する必要がない点にある。AIエージェントの導入・開発・保守・運用を日本IBMがBPOサービスの一環として担う仕組みであり、顧客の業務・商習慣の知見を有するメンバーが開発から運用までを一貫して支援する体制を整える。
三つの機能が支える、一気通貫の変革支援
同ハブが掲げる機能は三つある。第一に、間接業務へのAIエージェント導入・運用支援だ。業務マニュアルなどの既存資産をもとにAIエージェントを自動生成する「AI Agent for BPO」アセットを活用することで導入スピードを大幅に向上させ、幅広い領域でのAI活用の定着と横断的な展開を実現する。IBMが保有する業界・業務別の100種類以上のAIエージェント・アセットを組み合わせることで、短期間での導入と継続的な高度化が可能となる。
第二に、自社の変革実績を基盤とした業務変革コンサルティングである。IBM社内で年間7,000億円のフリー・キャッシュ・フロー創出を実現した「クライアント・ゼロ」の実績とAIエージェント・アセットを活用し、業務分析から変革構想の策定、AIエージェントの設計・実装までを一体で支援する。間接業務における50%以上の業務自動化を視野に入れた変革推進が目標だ。なお、「クライアント・ゼロ」とは、自社を「ゼロ番目のクライアント」と捉え、IBM社内で最新テクノロジーやソリューションを先行して導入・活用する取り組みを指す。
第三に、AI人材の共創・育成支援である。AI技術者が業務知識を習得し、業務担当者がAIスキルを身につける双方向の育成モデルを採用し、AI時代に求められるハイブリッド人材を育成する。北九州市や教育機関の協力を得て地域で活躍するAI人材を育てることで、地域全体でのAI活用促進も図る。
北九州を起点に全国へ、BPO機能を持つ3拠点が核に
北九州という立地にも意味がある。日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社(IJDS)は2022年から全国に順次「IBM地域DXセンター」を開設しており、2024年8月に千葉市(幕張)に開設した8カ所目を含め、現在は国内8拠点に展開している。そのうちBPO機能を担う中核拠点として位置づけられているのが、北九州・札幌・沖縄(那覇市)の3拠点だ。パートナー企業の常駐人員を含む総勢2,500人規模の体制を整えており、今回のハブ新設は、その北九州拠点においてAIファーストBPOへと業務のあり方を抜本的に組み替える取り組みとして位置づけられる。
今後の展開について日本IBMは、間接業務領域で確立したAI活用モデルを基盤に、顧客接点業務や業務オペレーション全体へと適用範囲を拡大していく方針を示している。AIエージェント・オペレーション・ハブについても、BPO機能を有する北九州・札幌・沖縄の3拠点を中心に順次拡張し、企業の競争力強化と地域経済の活性化の両立を目指すとしている。AIを「ともに働く存在」として業務に組み込み、社員がより付加価値の高い仕事に集中できる環境をどこまで広げられるか。同ハブの展開が、日本の働き方変革の一つの試金石となる。