【議事録詳報・前編】技術士試験 女性合格率は男性上回る 2025年度結果と「認知ギャップ」実態

文部科学省の科学技術・学術審議会 技術士分科会は2026年5月26日、第53回会合を開催した。2025年度技術士試験の結果報告と、有限責任監査法人トーマツによる技術士資格の認知度・活用事例調査の最終報告が主な議題となった。同会合の議事録は2026年6月26日に文部科学省ホームページで公開された。後編では公益社団法人日本技術士会(以下、日本技術士会)によるIPD(初期専門能力開発)事業の進捗と、第二次試験の合格率低下をめぐる制度論議を報告する。

2025年度試験の結果 若年層の受験・合格が増加傾向

2025年度の第一次試験は受験申込者2万2,756名に対して受験者1万7,013名、合格者は5,754名だった。試験は2025年11月23日に全国12都道府県で実施され、合格発表は2026年2月24日に官報公告などを通じて行われた。

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第二次試験は受験申込者3万700名に対して受験者2万4,135名で、2025年7月20日・21日に12都道府県で筆記試験を実施した結果、2,957名が筆記試験を通過した。その後、2025年12月6日から2026年1月18日にかけて東京で口頭試験が行われ、総合技術監理部門を除く技術部門の最終合格者は2,168名、総合技術監理部門は584名だった。両部門を合わせた全合格者に占める女性の割合は8.7%で、最終合格者は2026年3月13日に官報公告などを通じて発表されている。

受験者の年齢分布を見ると、平均年齢は41〜43歳で横ばいに推移しているものの、若年層の受験者・合格者は増加傾向にある。2025年度の最年少合格者は24歳だったことも、千葉大学 大学院工学研究院教授で分科会長を務める佐藤之彦氏が主宰する分科会の場で共有された。

女性合格率は男性上回る 30歳以下会員の4分の1が女性

女性の合格状況については、日本技術士会DEI委員会(Diversity多様性・Equity公平性・Inclusion包摂性)のデータをもとに、第二次試験の合格率が男性を上回っていることが紹介された。パシフィックコンサルタンツ株式会社 経営企画部 経営企画室プロジェクトリーダーの飯島玲子委員は同会DEI委員会委員長も務めており、30歳以下の会員に占める女性の割合が4分の1に達しているという同委員会データを紹介した。全合格者に占める女性の割合は8.7%にとどまるが、これは受験者母数における女性比率の低さが反映されたものであり、受験した女性の合格率は高い水準を維持している。

シティユーワ法律事務所弁護士の江黒早耶香委員からは、この実態を積極的に発信することで受験意欲の底上げにつなげるべきとの意見が上がった。育児と仕事を並行しながら合格を果たしている実例が広まれば、受験をためらう層への後押しになるという期待も示された。

建設部門以外での活用が課題 調査が示す資格の認知ギャップ

2024年度にわたって文部科学省の委託を受けた有限責任監査法人トーマツが実施した認知度・活用事例調査の最終結果が報告された。企業・公共団体・高等教育機関の5者へのヒアリングを含む調査では、建設部門以外では技術士資格の認知度が低く、昇進要件や入札条件に組み込まれる事例が限られることが改めて確認された。

民間企業では資格取得支援の仕組みが整っていないケースも多く、建設部門以外の技術者にとって技術士資格の取得が業務上の評価に直結しにくい構造が浮き彫りになった。高等教育機関においても、技術士資格を学生に体系的に案内している大学は少なく、工学系の教育認定制度であるJABEE(一般社団法人日本技術者教育認定機構)の認定プログラムとの連携も十分に活かされていないという課題が指摘された。

同調査では、こうした課題への対応として、技術士の活用事例やロールモデルを広く周知するポータルサイトの整備と、個別企業・公共団体への直接的な情報提供という段階的な広報施策が提案された。すでに日本技術士会が公開している情報を基盤としつつ、建設部門以外の技術部門における活躍事例や採用・評価への活用例をまとめて参照できるサイトの構築が望ましいとされた。

一般財団法人 沿岸技術研究センター特別研究監の栗山善昭委員からは、ヒアリング対象が5者と少なく農業や情報工学など複数の技術部門の実態を十分に反映していないとの指摘があった。農業分野ではすでに農林水産省や都道府県が技術士資格を評価する仕組みを設けている事例もあり、調査結果の一部に事実誤認があるとの声も上がった。

株式会社建設技術研究所顧問で分科会長代理を務める寺井和弘氏からは、資格活用の促進には広報強化だけでなく建設部門以外でも技術士が準独占的に関与できる制度的な仕組みを構築することが不可欠だという意見も出た。技術士の第二次試験では4年以上または7年以上の実務経験を経て受験する仕組みが採られており、この現場重視の設計を強みとして対外的にアピールすべきという声もあった。

後編では、日本技術士会によるIPD(初期専門能力開発)事業の進捗、継続研さん(CPD)の活用状況、高等学校「情報」教員資格認定試験への技術士資格の追加、そして第二次試験の合格率低下をめぐる制度改革論議を報告する。