2026年度新入社員、「自走」より「伴走」求める傾向
累計20,000社・470万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長・眞﨑大輔)とラーニングイノベーション総合研究所は、2026年3月24日から5月6日にかけて2026年度入社の新入社員3,849人を対象に「新入社員意識調査(成長の価値観編)」を実施した。最大10年分のデータとの比較から、今年度の新入社員が成長に際して安全志向と伴走希望の姿勢を強めていることが浮き彫りになった。
仕事への意欲高いが
仕事への意欲については、70〜100%と回答した「やる気度が高い」層が87.9%に達し、10年間の調査で昨年に次ぐ過去2番目の高さを記録した。しかしスキルアップのために既に取り組んでいることを尋ねると、「特に何もしていない」が31.4%で最多となった。この割合は2024年度の34.9%から2年連続で低下しているものの、依然としてトップを占めている。ビジネス本を読んでいると答えた割合は2020年度の29.2%から14.3%へとほぼ半減した一方、学習アプリの活用は10年前より8.4ポイント増加して昨年の4位から3位に浮上しており、学びの手段がデジタル化にシフトしていることがうかがえる。
仕事を通じた成長への期待は縮小傾向
今後取り組みたいこととしては、「会社での仕事を通じてスキルアップをはかっていきたい」が64.3%でトップを維持した。この設問は12年間連続1位だが、2016年度の81.4%から年を追うごとに減少している。対照的に「特に何も考えていない」は10年前の1.8%から5.7%へじわりと上昇し、2026年度は過去最高の割合となった。意欲は高いものの、スキルアップへの具体的な行動や将来の見通しについては受動的な傾向が強まっていることが読み取れる。
目標設定と周囲との連携に積極的
自ら進んで取り組みたい行動については、「自分で目標を立てて行動する」が48.8%でトップ。「周囲に相談しながら、自分なりの解決策を提案する」(35.8%)と「チームのために自分の役割を考えて行動する」(34.5%)がそれに続いた。
一方、「会社や組織の方針に沿って、自分の役割を果たす」「業務の改善点を見つけて提案・実行する」「自分からフィードバックをもらいにいく」はいずれも1割未満にとどまっており、能動的な提案や組織への働きかけには消極的な面がみられる。
成長に必要なもの、「成功体験」が過去最大
成長するために必要なものを問う設問では、「仕事を通じた成功体験」が67.1%でトップとなり、2020年以降の増加傾向が続いて過去最大の割合を記録した。2位は「仕事を通じた失敗体験」(58.1%)、3位は「上司や先輩からの事後のフィードバック」(55.3%)だった。2020年に首位だった「失敗体験」は徐々に減少し、3年連続で6割を切っている。「振り返りの習慣」や「書籍」も同様に減少傾向を示しており、安全に着実な成果を積み上げたいという意識が成長観にも反映されている。
評価よりプロセスで評価されたい傾向
社会人1年目で身につけたいスキルは「ビジネスマナー」が71.9%でダントツの1位、「専門スキル(技術・営業・会計・人事等)」が32.9%で2位に続いた。「論理的思考力」(30.0%)、「プレゼンテーション力」(29.2%)、「傾聴力」(28.7%)はいずれも3割前後で並んだ。評価されたいことについては「取り組み姿勢(努力・頑張り・素直さ)」が56.4%でトップ、「自分の成長(スキルアップ・知識習得)」(44.0%)、「成果(売上・業績・数字などの結果)」(39.6%)がそれに続き、成果よりもプロセスで認められたいという志向が鮮明になった。
成功体験の積み重ねと段階的な自立支援を企業に提言
同社事業開発推進本部コンテンツマネジメント部ユニットリーダーの宮澤光輝氏は、調査全体を通じた考察として「2026年度新入社員は、自ら突き進む"自走"よりも、教わりながら安全に進む"伴走"を望む傾向がある」と指摘する。毎年の新入社員研修を通じた観察として、今年は講師からのフィードバックを正面から受け止めて改善しようとする「素直さ」が際立つという。その素地を生かしつつ主体性を育むため、同社は企業に対して二つの取り組みを提言している。
一つは、業務の背景や狙い、評価観点などを事前に共有する「経験前学習」を通じて不安を取り除き、小さな成功体験を意図的に積ませる育成設計だ。ただし常に正解を提示するだけでは主体性は育ちにくく、段階的に支援の量と質を減らしていく「フェイディング」(補助輪を外していく行為)を取り入れ、自ら考えて行動する機会を広げていくことが求められるという。もう一つは、「自ら考え、動き、ともに価値を生み出す力」を組織全体で継続的に高めていくことだ。この力は新人に限らず、リーダーも含めた組織全体が追求すべき核であると宮澤氏は強調しており、今年度の新入社員の特性を踏まえた育成設計のあり方が企業に問われている。