「日本学術会議法」が成立 学術会議は来年10月から特殊法人に、会員任命は首相ではなく総会が担当
6月11日、日本学術会議を国の組織から法人へと移行させること等を盛り込んだ「日本学術会議法」が参議院本会議において可決され、成立した。
日本学術会議は、人文・社会科学、生命科学、理学・工学など、すべての学問分野におけるわが国の科学者の中から選ばれた、210人の会員と約2,000人の連携会員で構成されるアカデミー。内閣総理大臣の所轄でありつつも政府から独立した、国の「特別の機関」として1949年に設立。会員による学問分野を超えた議論にもとづき、政府や社会への提言や啓蒙、国際学術交流を行っている。
これまで会員の選任は、学術会議が選考・推薦した候補者を内閣総理大臣が任命する、という方式で行われてきた。しかし2020年、学術会議が推薦した候補者105名のうち6名について、菅義偉首相(当時)が任命を拒否。前例のない任命拒否に学術会議は反発し、一方国も、学術会議のあり方の見直しに着手した。
3月7日、政府は学術会議の法人化や、会員の選任方法の変更を盛り込んだ法案を国会に提出し、同日閣議決定。学術会議は、独立性や自律性が脅かされるとして修正を求めてきた。しかし結果として、原案の通り可決された。
学術会議は2026年10月1日をもって特殊法人となる。また会員数は40名増えて250名となる。選任については、学術会議に「会員候補者選定委員会」を新たに設置。同委員会が選定した候補者の中から、総会が選任するという方式を取る。加えて内閣府に、学術会議の点検・評価を行い、それにもとづき意見を述べる「日本学術会議評価委員会」を新たに設置する。
成立を受け、6月12日、学術会議の光石衛会長は談話を発表。求めていた修正がなされず、原案の通り可決されたことについて「非常に残念」とする一方、「新たな法律の下での日本学術会議のさらなる発展に向けて、日本学術会議においても準備、検討を開始する」と述べた。