特許庁報告書「教育分野における情報通信技術の活用」、中国の出願が増加

特許庁は4月27日、将来の市場創出・拡大が見込める最先端分野である「教育分野における情報通信技術の活用」の技術テーマについて、特許情報等を調査・分析した特許技術動向調査の報告書を取りまとめた。調査の結果、中国籍出願人による出願の近年の伸びが顕著であること、及び、「人工知能の利用」に関する出願は、2017年以降に急増しており、特に中国籍出願人、韓国籍出願人からの出願が増加していることが分かった。

日本においては、GIGAスクール構想に基づき「1人1台端末」等、学校におけるICT環境の整備が着実に進められている。諸外国においてもSTEAM教育やICTを活用した教育への注力がなされており、ICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータを活用した新たな学習として、EdTech分野への関心が全世界的に高まっている。

特許出願の全体動向についてみると、当該分野の特許出願件数は増加している。特に中国籍出願人による出願の近年の伸びが顕著だが、その多くは中国国内への出願となっている。日本国籍出願人、韓国籍出願人による出願も増加傾向にある一方で、米国籍出願人による出願は減少傾向にある。

また、「人工知能の利用」に関する出願は、2017年以降に急増しており、特に中国籍出願人、韓国籍出願人からの出願が増加。人工知能に用いられているログについて分析すると、成績や学習経過の記録等の「スタディログ(学習記録)」に関する出願件数が多く、その一方で、「アシストログ(指導記録)」に関する出願は多くはないことが分かった。

今後も、教育分野における情報通信技術の活用として、特に人工知能を利用した出願の増加が予想されるが、日本はGIGAスクール構想等により教育ICTのハード面での基盤が整ってきており、この基盤を有効に活用するための技術開発が期待される。例えば、アシストログは、指導の内容と効果を紐付けて分析することにより、効果的な指導が可能になることから、同報告書では人工知能を用いてアシストログを分析・活用する技術の開発に注力すれば、日本が市場で優位に立てる可能性があるとしている。

22.4.28news2