廃校を酒蔵に再生、「学校蔵」で未来への気づきを育む

佐渡島において、廃校を酒蔵として再生し、交流や学びの場としても活用する「学校蔵プロジェクト」が展開されている。酒造り体験プログラムを提供するほか、「佐渡から考える島国ニッポンの未来」をテーマにした特別授業も開催。島の内外をつなげ、様々な化学反応を起こしている。

酒造りを学ぶことは、
地域を学ぶことにつながる

尾畑 留美子

尾畑 留美子

尾畑酒造株式会社 専務取締役
1965年、佐渡の「真野鶴」蔵元の二女として生まれる。慶應義塾大学法学部を卒業し、日本ヘラルド映画(当時)の宣伝部に所属。1995年に故郷に戻り、家業の蔵を継ぐ。2014年から佐渡の廃校を仕込み蔵として再生させた「学校蔵プロジェクト」を開始。2019年、内閣府の「日本の女性活躍推進プロジェクト」のCNNネットワーク用CMに出演。2019年、「新潟女性活躍アワード2019」受賞。2020年、The Japan Times「Satoyama大賞」受賞。

佐渡の旧真野町にあった西三川小学校は、2010年に少子化のために廃校が決定。その美しい木造校舎を何とか残したいと手を挙げたのが、佐渡の日本酒「真野鶴」を醸造する創業1892年の老舗酒蔵、尾畑酒造だった。

尾畑酒造で廃校活用のプロジェクトを牽引しているのが、専務の尾畑留美子氏だ。尾畑氏は尾畑家の二女として生まれたが、大学進学を機に佐渡を離れ、卒業後は東京の映画会社で働いた。雑誌編集者の夫(現:尾畑酒造社長)と結婚して夫婦で佐渡に渡り、1995年に故郷の蔵を継いだ。廃校を引き取って酒蔵にするというアイデアは、夫からの発案だった。

「新しい酒蔵をつくるのは大変ですし、当初、私は反対していました。でも廃校になる西三川小学校の景色を実際に見て、…

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