【10月9日関芳弘文科大臣会見要旨】硤合氏のノーベル化学賞を閣議報告 基礎研究の多様性と厚みを生む政策推進
関芳弘文部科学大臣は2026年10月9日の記者会見で、「公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案」が同日の閣議で決定されたと発表した。東京理科大学の硤合憲三(そあい・けんそう)名誉教授がノーベル化学賞を受賞したことも、閣議で報告したと明らかにしている。質疑では、基礎研究の強化に向けた具体的な取り組みや、純粋な「知」の探求を目的とする基礎研究への考えを示した。
学校医らの公務災害補償、時効期間を見直し
閣議決定された法律案は、公立学校の学校医、学校歯科医、学校薬剤師の公務災害補償について、消滅時効の期間を見直すものだ。
Photo by hamazou/ Adobe Stock
先の国会で労働者災害補償保険法が改正されたことを受け、国家公務員と地方公務員の公務災害補償制度でも改正が予定されている。法律案は、学校医らの補償に関する消滅時効の期間について、両制度の改正と同様の見直しを行う。
関大臣は、今国会での成立を目指し、全力を尽くす考えを示した。
硤合名誉教授の受賞、国民の誇りと励みに
2つ目の報告は、硤合憲三・東京理科大学名誉教授のノーベル化学賞受賞についてである。関大臣は、今回の受賞が日本の研究者の高い研究水準を改めて世界に示すとともに、国民にとって大きな誇りと励みになると述べた。国民を代表して心から祝意を伝え、硤合名誉教授のこれまでの素晴らしい研究業績に改めて敬意を表している。
受賞決定の直後に関大臣が硤合名誉教授へ電話をした際には、科学研究費助成事業(科研費)や東京理科大学の研究支援体制をはじめとするさまざまな支援が今回の成果につながったとの話があったという。
文部科学省は、硤合名誉教授に続く優れた研究成果を継続的に生み出すため、科研費や、基盤的経費である国立大学法人運営費交付金などを通じて、基礎研究の多様性と厚みを生み出す政策を引き続き推進する。我が国の基礎研究力や人材育成に関する取り組みも、しっかりと進める方針だ。
基礎研究の強化へ4つの取り組み
質疑では、幹事社の記者が、今回の成果のような基礎研究の強化に向けた今後の具体策を尋ねた。あわせて、基礎研究の成果の社会実装に向けた取り組みや応用研究への投資も必要だとして、日本の科学技術が世界をリードするための取り組み強化について見解を求めた。
関大臣は、基礎研究は人類の発展の基礎となる貴重な知的資産を創造し、ひいてはイノベーションの源泉を生み出すものだと説明した。そのうえで、基礎研究の多様性と厚みを生み出す取り組みが重要だとして、文部科学省として4つの取り組みを進めるという。
1つ目は、研究者の自由な発想に基づく研究を支える科研費の大幅な拡充など、競争的研究費の充実である。2つ目は基盤的経費で、国立大学法人運営費交付金の大幅な拡充や私学助成の重点化と充実を図る。3つ目に、世界トップレベルの研究者が集まる、厚みのある研究大学の形成を挙げた。4つ目は、若手研究者などの科学技術人材の育成と活躍の促進だ。
関大臣は、これらの取り組みを通じて我が国の科学を再興し、世界の科学技術の牽引に貢献していきたいと語った。
純粋な「知」の探求、長期的な視点で推進
続いて別の記者が、硤合名誉教授の研究は生命の根源の問いに迫る純粋な基礎研究だったと指摘した。事業化や社会実装を念頭に置いた応用基礎研究も重要だとしたうえで、人類の知に貢献する科学の真髄のような研究がノーベル賞を受けたことの受け止めを尋ねた。さらに、研究が短期的な目線でしか評価されなくなっているのではないかという研究者からの指摘を紹介し、こうした研究を支援するために何が必要かを問うた。
関大臣は、宇宙や生命の仕組みなど純粋な「知」の探求を目的とする研究について、研究者の自由な発想と知的好奇心に基づいて進められ、新たな科学的知見や概念を生み出す基盤になるとの認識を示した。基礎研究の成果は将来の応用研究やイノベーション創出の土台となるもので、長期的な視点で極めて重要な意義があると述べている。
文部科学省としては、社会の状況に対応して早期の実用化などを目指す研究に加え、基礎研究も着実に推進していくと話した。
※政策動向・省庁会見の要点などを、毎日メールでまとめてお届けしています。▶無料メルマガ登録はこちら