事業承継者の育成・経営者の学びに役立つ書籍5選
常に変化する市場環境に柔軟に対応し任期中の経営課題に対処できる能力を兼ね備えた次世代の経営人材の育成にはどのような知と経験が必要だろうか。本稿では、経営人材の育成や経営者に必要な学びとは何かに焦点をあて、それらに役立つ書籍を5つ選定した。
書籍を通じて後継者育成方法や
次期経営者に必要な学びを知る
日本経済の屋台骨を支える中小企業。その多くは同族企業(いわゆるファミリービジネス)で、日本企業のファミリービジネスの割合は90%以上、上場企業もファミリービジネスが約半数を占めている。
経営者の高齢化も進む中、ファミリービジネスの事業承継において、後継者不在は喫緊の課題といえる。静岡県立大学教授の落合康裕氏による著書『事業承継の経営学 企業はいかに後継者を育成するか』は、ファミリービジネス研究の第一人者である著者が事業承継をめぐる課題について、著者の研究に基づく老舗企業の事例などをベースに読みやすくまとめている。また、経営戦略・経営組織・ガバナンスなどの経営学の知見を踏まえ、事業承継を契機にイノベーションを起こす一助となることを目指し、一般の中小企業、大企業にまで普遍的に適用できるヒントをテーマごとに示している。
2023年3月31日に東京証券取引所より資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の要請が各上場企業になされた。これにより、上場企業各社は資本コスト経営を事実上迫られることとなった。
目白大学准教授の高辻成彦氏による著書『資本コストや株価を意識したコーポレートガバナンス』は、アナリストとして数多くの企業の企業価値評価を行い、社外取締役・大学教員としてガバナンスの改善活動に取り組む筆者が会社経営に携わる人材などへ向けて、資本コストや株価を意識したコーポレートガバナンスの基本について初心者向けに分かりやすく一冊の本にまとめている。
次期経営者は、企業経営に必要な知識を学ぶ必要がある。その代表的な知識の一つが「ファイナンス」だ。株式会社オントラック代表取締役の石野雄一氏による『増補改訂版 道具としてのファイナンス』は2005年の発行以来、「わかりやすいファイナンス本」として、高い評価を集めてきたロングセラーを全面改訂。「難しい数式は極力避けてExcelに任せる」というコンセプトはそのままに、最適な資金調達やプロジェクト選択など、実務に役立つ知識・方法をわかりやすく解説している。
企業が次世代を担う経営候補を早期に見出し育成していく上では、長期的な視点のもと、体系的な育成が求められている。宇都宮大学教授の大嶋淳俊氏による著書『次世代経営リーダー育成』は、15年間にわたる著者の研究成果を結集し、経営人材を持続的に創出する「次世代経営リーダー育成(NLP)モデル」を理論的・実証的に解説している。
(※全文:1198文字 画像:あり)
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