日本の企業変革の鍵は「ヒト」 独との比較調査で判明 変革人材の育成急務

経営戦略コンサルティングファームのローランド・ベルガーが9月8日に発表した日独の上場企業経営層への意識調査で、企業変革を成功させる上で、日本の経営陣がドイツ圏に比べ「ヒト」の要素を著しく重要視していることが明らかになった。多くのテーマを同時並行で扱う必要がある日本企業にとって、変革を牽引できる人材の育成が成功の重要な鍵であることが、データによって裏付けられた形だ。

この調査は、2025年6月に実施され、日本の上場企業CxO・経営企画責任者200名と、2024年に調査したドイツ・オーストリア・スイスのCxO500名の回答を比較分析したもの。

調査結果によると、日本企業が取り組む変革テーマは平均2.9個と、ドイツ圏(2.0個)の約1.5倍に上る。デジタル・AI活用やコスト削減といった共通テーマに加え、日本企業は他のテーマも同時並行的に対応する必要に迫られている。

ローランド・ベルガーのプレスリリースより

特筆すべきは、コスト主導型の企業変革(コスト削減を第一目的とした変革)への見方の違いだ。その成功可能性について「分からない」と回答した日本の経営陣の割合は、ドイツ圏の2倍以上に達し、成功への不透明感が強いことが判明した。

ローランド・ベルガーのプレスリリースより

こうした状況を反映し、日本企業は変革成功の要素として「実行力のある管理職」と「効果的なコミュニケーション/利害関係者の調整」を、ドイツ圏企業よりも格段に重視している。

ローランド・ベルガーの公式プレスリリースより

同社の企業変革チーム責任者でシニアパートナーの田村誠一氏は「製品・サービスのQCDで競争優位を築く時代は終焉した。多様なステークホルダを巻き込みながら変革を牽引できる人財の育成が変革の一丁目一番地となっている」と指摘。プリンシパルの野本周作氏も「常に『変革人材』を育成し続けることが必要」と強調している。